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缶・罐(かん)とは、金属製の容器である。材料により、ブリキ缶、スチール缶、アルミ缶などに分かれる。 == 概念 == 一般に水分の多い食品を金属缶に詰めた上で密封・加熱・殺菌したものを缶詰という〔日本食品保蔵科学会『食品保蔵・流通技術ハンドブック』建帛社 p.38 2006年〕(後述の単なる「缶入り」とは区別される〔)。金属の高い密封性を生かして、酸素、水分、菌類などから遮断し、密封後に加熱殺菌などをすることで、高い保存性が得られる。缶詰には肉類(コンビーフなど)、魚介類(「ツナ」など)、野菜類(水煮、ホールトマトなど)、果物(シロップ漬け)、その他加工食品(サンマの蒲焼など)、油脂類(食用油、ラードなど)、調味料(主に業務用の調味料)など様々な製品がある。人間用の食品以外にも、犬や猫などペット用の飼料、特にウエットフードを入れたものがある(猫缶など)。 缶に詰めた飲料、特に1人で1回で飲める程度の少量のものは缶飲料と呼ばれ、中身に応じて缶ジュース・缶コーヒー・缶ビールなどと呼ばれる。 乾燥食品などの製品を単に金属缶に詰めて密封したものは「缶入り」として通常は缶詰とは区別される〔。茶、コーヒー、紅茶、海苔、菓子、プロテイン、粉ミルクなどによく使われ、普通の蓋による開閉になっている。菓子類では飴、煎餅、クッキー、チョコレートなど贈答用のものも多い。茶や海苔など特に乾燥状態を保ちたい食品を入れる缶には中蓋の付属するものがある。 金属缶は食品以外には、石油製品・化学薬品などに使われる。スプレー缶は医薬部外品や殺虫剤などが多い。多くが円柱形であるが、一斗缶のような直方体など、様々な形の缶が作られている。食用油、石油製品など液体用の缶では、ネジなどで再び密閉できる注ぎ口がついているものが多い。 一斗缶やドラム缶は再使用が可能であり、JISなどで形や大きさが規格化されている。再使用不可能でも、250ml缶や350ml缶など、事実上の標準となっているサイズもある。中身が空(から)の缶のうち、中身を詰める前の未使用の缶は空缶(くうかん)、使用済みの缶は空缶(あきかん)と呼ばれる。 「カン」は本来は「罐」の音である。「缶」は日本特有の略字であり、本来は「フ、フウ、ほとぎ」と読む別字で、酒を入れたり打楽器に使ったりする素焼きの甕を意味した。「罐」(あるいは略字の「缶」)は本来は水を入れる容器を意味し、水を沸かす容器の意味に広がった。この意味での言葉には「薬缶(やかん)」などがある。現在のような金属容器の意味は、明治期にオランダ語「kan」、英語「can」 の音に通じ、かつ円筒形の瓶(かめ)の意から音訳字として本字を当てるようになって生まれた。字体から分かるように、「かん」の音は旁にある(「觀(観)」「勸(勧)」などと同様)。これに「缶」の文字を当てるのは、戦後国語改革で当用漢字から「罐」が外され、代字として偏の「缶」を慣習的に用い、定着したところ、常用漢字として採用されたことによる。しかし、上述のように「缶」は本来別字であり、文字の伝統をあまりに無視したものとして批判されることがある。同様の文字に、「芸」(ウン)と「藝」(ゲイ)の関係などがある。 なお、ボイラーのことを「汽缶」略して「缶」と呼ぶこともある(清缶剤など)。また、船舶のエンジンも「罐」と呼ばれる。これは20世紀半ば位まで、船舶の機関はタービン機関が主流であった名残である。これらの意味では音読みの「カン」の他に訓読みで「かま」と読むこともある。建築物やプラントに設置する金属製のタンクも缶と呼ぶことがあるが、これは密閉、開放を問わない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「缶」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Tin can 」があります。 スポンサード リンク
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