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有機合成において、反応性の高い官能基をその後の反応に於いて不活性な官能基に変換しておくことを「保護」といい、その官能基を保護基(ほごき)と言う。また、保護した官能基は必要な反応が終了した後、適当な反応を行うことで保護をはずす。このことを脱保護という。様々な条件で外れる保護基が開発されており、複雑な化合物の合成では保護基の選択や脱保護の順序などの戦略が成否を分けることも多い。また、保護を施すことで分子全体の反応性が変わることもある。 例えば、アルデヒドは求核付加反応に対して活性であるが、アルデヒドをアセタールにすることで保護し求核付加反応に対して不活性とすることができる。また、アセタールは酸性条件下で水との反応により脱保護され、元のアルデヒドへと戻すことができる。 ===ヒドロキシ基の保護基=== *エーテル系 #メチル基 – Meと略される。多くはフェノール性ヒドロキシ基の保護基として用いられる。三臭化ホウ素などの強いルイス酸によって脱保護させる。 #ベンジル基 – Bn または Bzl と略されることが多い。パラジウムを触媒とした水素添加反応、バーチ還元などで脱離できる。 #''p''-メトキシベンジル基 – PMBあるいはMPMと略される。ベンジル基と同様な条件の他、2,3-ジシアノ-5,6-ジクロロ-''p''-ベンゾキノン (DDQ) や硝酸セリウムアンモニウム (CAN) などによる酸化条件でも脱保護が可能である。 #''tert''-ブチル基 – トリフルオロ酢酸や、4mol/L 塩酸-酢酸エチル溶液などの強酸性条件下脱保護することができる。 *アセタール系 メトキシメチル基 (MOM)、2-テトラヒドロピラニル基 (THP)、エトキシエチル基 (EE)など。いずれも酸性条件下水との反応で除去する。酸に対する感受性は保護基によって差があるため、うまく選択することによって掛け分け・外し分けが可能である。 *アシル系 #アセチル基 – Ac と略する。メタノール中炭酸カリウムによって脱保護できる。 #ピバロイル基 – Piv と略する。アセチル基よりも強い塩基性条件で脱保護する。 #ベンゾイル基 – Bz と略する。強塩基条件または強いヒドリド還元条件で脱保護する。 *シリルエーテル系 トリメチルシリル (TMS)、トリエチルシリル (TES)、''tert''-ブチルジメチルシリル(TBSまたはTBDMS)、トリイソプロピルシリル (TIPS)、''tert''-ブチルジフェニルシリル (TBDPS) などが用いられる。酸性条件またはフッ化物イオンを作用させることで脱保護できる。それぞれ脱保護条件に対する感受性が異なるので、条件により使い分ける。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「保護基」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Protecting group 」があります。 スポンサード リンク
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