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臨時仮名遣調査委員会(りんじかなづかいちょうさいいんかい)は、1908年(明治41年)に文部省の諮問によって設置された国語表記についての委員会である。この委員会の議論が、明治政府が教科書に歴史的仮名遣いを採用する契機となった。 == 設置までの経緯 == 当時、普通教育をおこなううえで国語読本の仮名遣いを決定する必要があった。文部省は1900年(明治33年)に『小学校令施行規則』で字音仮名遣の表音式化を決定、漢語の「学校」を「がっこー」と表記するなどの方針をうちだし、1903年に作られた最初の国定国語読本は、字音語(漢語)については表音式、和語に関しては歴史的仮名遣いで編纂された。ついで1905年、次期の国定教科書では、国語調査委員会の諮問をもとに、表音式仮名遣いを漢語、和語ともに採用することを決定した。この国語調査委員会は前島密を委員長として1900年に文部省内に設置されたもので、委員長の前島自身や上田万年、芳賀矢一など委員のほとんどが表音派でしめられていた。なお国語調査委員会は1902年に官制に移行、そのときの委員長は明治初期に口語体で文章を書いていた加藤弘之である。このことからみると、表音式仮名遣いが委員会の答申としてあがったことは当然のなりゆきであった。 しかし貴族院議員などからこの表音式案に反対する声がでたため1908年5月文部大臣牧野伸顕は、菊池大麓を委員長に、表音的仮名遣い派、歴史的仮名遣い派、双方の委員を集めて仮名遣いについて諮問した。 == 審議過程と影響 == 臨時仮名遣調査委員会はさきの国語調査委員会とはことなり表音派の大槻文彦、歴史的仮名遣いを推す森鴎外ら双方の主張者が委員となり、議論をたたかわせた。委員会は6月5日から金曜日ごとに5回にわたって開催され、第2回には大槻文彦の表音式擁護意見、続いて第3回では同じく表音派の芳賀矢一が意見を述べ、第4回には森鴎外が歴史的仮名遣い擁護の演説をおこなった。第5回をおわったところで委員会は休会にはいる。なおこの委員会の議論を実質的に整理し、すすめていったのは主事の渡部董之介である。 諮問からわずか4ヶ月後の1908年9月、牧野のあとをうけて7月に就任した小松原英太郎文部大臣より、さきに採用された国語調査委員会諮問案(表音式案)撤回の方針がうちだされた。こうして文部省は一転して表音式仮名遣いを廃し歴史的仮名遣いにかたむき、小学校の国語読本をはじめとする国定教科書では、歴史的仮名遣いが採用されることになる。臨時仮名遣調査委員会の役割は終わり、1908年12月正式に解散となった。 このように、臨時仮名遣調査委員会の活動は短いものであったが、鴎外の『仮名遣意見』(外部リンク参照のこと)や大槻、芳賀らの研究とその応用についての意見など、近代の日本語研究にとって大きな成果がのこされた。 この委員会の議事録は国立国会図書館の『臨時仮名遣調査委員会議事速記録』(外部リンク参照のこと)によって読む事ができる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「臨時仮名遣調査委員会」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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