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自己負罪拒否特権(じこふざいきょひとっけん)とは「''何人も、自己に不利益な供述を強要されない''」とする原則である。刑事訴訟において主に用いられる。自己負罪拒否権、自己帰罪拒否特権ともいう。 ==概要== 黙秘権と類似するが、黙秘権は大陸法系の言葉であるのに対して、自己負罪拒否特権は英米法の言葉。両概念は厳密には全く別物である。 アメリカ合衆国憲法修正5条が根拠となっている。この規定により、アメリカでは刑事訴訟で被告人が証言することを拒むために法廷で証言台に立たないことも可能である。 日本では日本国憲法第38条1項に規定されている。大日本帝国憲法下では認められておらず、被告人や被疑者は裁判所や捜査機関の尋問に対して真実を供述する義務があると解されていた。 現代ではほとんどの国で保障されているが、1994年以降のイギリスのように被疑者が一定の条件下で黙秘をした場合は被疑者に不利に推認することを可能とすることを法律で明記している国も存在する。この規定は「自己負罪拒否特権」を悪用する犯罪者が多発した弊害のためである。ただし、黙秘の姿勢を見せた場合には「黙秘によって判決に不利に働く可能性がある」ことを告知し、その上で黙秘をした場合という条件がある。黙秘による不利推認可能性の告知に追加して、自己負罪拒否特権が制限される条件は以下のとおり。 #犯罪に対するアリバイや正当防衛に関する事実などの防御権を被疑者が行使しなかった時 #容疑者が当該犯罪行為に加担したことを示す物を所持していたり、身体・衣服にその痕跡が残されていた場合に、それに関する捜査官の質問に被疑者が答えなかった時 #被疑者が犯行時刻に近接した時間帯に犯行現場で逮捕された場合に捜査官から犯行に関する質問に答えなかった時 #公開公判の場で、被告人側の立証において正当な理由なく供述しなかった時 もっとも、上記1,2,3において黙秘をした場合は、日本でも刑事訴訟の運用上において「被告人は検察側の立証に対して不利益な心証を崩すことができない」として被告人に不利益推認されることはある。被害者に最後に接触して被害者の骨を密かに所持して最重要人物と目された被疑者が黙秘し続けた城丸君事件では裁判で黙秘権の是非が注目されたが、判決では黙秘しても多くの間接証拠から被疑者に不利に推認して重大な犯罪で被害者を死なせたことを認定した一方で、殺意については証拠が乏しかったため被疑者に有利に推認して合理的な疑いがあると認定して、殺人罪の無罪が確定している。 アメリカのように司法取引によって刑事不訴追を約束しあるいは当該供述の証拠使用を免除することで自己負罪拒否特権を外し、真実供述を義務付ける制度を導入する国もある。 なお、自己負罪拒否特権は行政権力からの私人の権利保護が目的とあるため、私人対私人の民事訴訟には適用されない。また合理的な疑いを超える証明を必要とする刑事訴訟とは異なり民事訴訟では証拠優越が原則となるため、被告の黙秘は相手の証拠に対して反論なしとして扱われて刑事裁判と比較すると不利になりやすい。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「自己負罪拒否特権」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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