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茅葺(かやぶき。「萱葺」とも。)とは、茅(かや、萱。ススキやチガヤなどを指す)を材料にして葺く家屋の屋根の構造の一つで、茅葺き屋根、茅葺屋根ともいう。用いる材料により藁葺(わらぶき)・草葺(くさぶき)と呼び区別する場合もある。 英国やドイツなど、世界で広く見られ、日本独特なものではない。 == 概要 == 茅はススキの別名であるが、チガヤなどの総称でもある。茅葺は世界各地でもっとも原初的な屋根とされ、日本でも縄文時代には茅を用いた屋根だけの住居が作られていたと考えられている。奈良時代以降の場合は板葺や樹皮葺であった可能性が検討されるが、弥生時代以前の遺跡(登呂遺跡など)で復元される竪穴式住居などの屋根は通常茅葺とされる。 材料になる植物は水分が多い状態で屋根に使うとすぐに腐ってしまうので、通常冬になって枯れてから集める。春になるまで充分乾燥させてから使用するが、耐久性を高めるために使用前に燻したりすることもある。建物の内部で竈や囲炉裏を使用すると煙で燻されることにより耐久性が高められるが、神社建築の場合は建物内部で火を使うことがまずないため、民家に比べると寿命が短くなる。 基本的に雨漏りを防止するために急勾配の屋根にするが、使用する植物の茎などが太いと隙間が大きくなり雨漏りがしやすいため、より急勾配が要求される。通気性・断熱性に優れる、雨音が小さいなどの長所を持つが、寿命が短い(ススキやヨシで葺いた場合は使い方によるが、だいたい20年~30年)・近隣で火災が生じた場合に容易に類焼してしまう・台風などの強風で簡単に吹き飛ばされるといった短所を併せ持つ。 日本では集落が発展し、建物が密集する都市が形成されるにつれて火災に弱い短所が嫌われ、都市部や街道沿いの町屋などでは瓦の普及などにより早期に姿を消した。江戸の市街地などでは茅葺が禁じられていた区間もあった(一度延焼すると容易に大火となるため)。一方農村部では材料のススキ・チガヤ・稲藁などの入手が容易であり、農閑期に共同作業で材料の入手と屋根の補修を行なうことができたため、20世紀中ごろまで日本各地の山間部の農村に茅葺が数多く残っていた。台風の被害の大きい地域では、台風などによる強風に弱い短所が嫌われ、山間部に比べて早期に減少していた。 第二次世界大戦後は農村の過疎化が進み、共同作業として行う葺き替えが困難になったこと、規制等により新たに建造することが簡便ではないこと、また、スギなどの木材価格が一時的に高騰し茅場が人工林化したことなどから急激に姿を消した。さらに、戦後の茅葺きには戦中の茅場の荒廃により、腐りやすい麦わらを用いたものが数多くあり、その結果吹き替えのサイクルが極端に短く成り費用対効果が悪く成った事も、茅葺き屋根の衰退に拍車をかけた。21世紀現在、もともと茅葺であった建物の大部分はトタンなどの金属葺屋根に改修されているが、わずかに茅葺が維持されている建物も残っている。民家では新規に建築されることはほとんどなくなったが、伊勢神宮正宮・別宮などの寺社建築では古式に則り茅葺を維持している例が多い。外観に特徴を与える意匠として商業施設などに採用される場合があるが、茅葺に見えるようなFRPなどの屋根が採用されることもある。 なお、宮城県石巻市では2006年11月1日より、建築基準法第22条1項の規制区域を緩和することによって、「茅葺き屋根」新築の道を開いた。これは市内を流れる北上川特産のヨシを利用することにより、地場産業を活性化させることにつながり、また文化的価値が高い「茅葺き屋根」の新築を可能にすることによって、田舎暮らしを目指す人々を石巻市内に呼び込む道を開いたものとして注目される。ちなみに、当初石巻市は「茅葺き屋根」新築のための「特区」を国に申請していたが、国は市独自の判断で、火災の延焼防止を目的に住宅に不燃材使用を定めている建築基準法の22条の指定を見直すことで、「茅葺き屋根」新築のための規制緩和に対応できるとの見解を示した。 日本以外では、西ヨーロッパ(ドイツ・デンマーク・オランダ等)においては一般民家等は少なくなってはいるが、富裕層では裕福の象徴的な意味もあり、新築で建てるなど比較的数が多く、日本の職人も研修などで訪れたりもする。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「茅葺」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Thatching 」があります。 スポンサード リンク
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