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「藪の中」(やぶのなか)は、芥川龍之介の短編小説。初出は「新潮」1月号(1922年)、初刊は「将軍」(1922年)。複数の視点から同一の事象を描く内的多元焦点化(ジュネット)の手法がとられ、殺人と強姦という事件をめぐって4人の目撃者と3人の当事者が告白する証言の束として書かれており、それぞれが矛盾し錯綜しているために真相をとらえることが著しく困難になるよう構造化されている。その未完結性の鮮烈な印象から、証言の食い違いなどから真相が不分明になることを称して「藪の中」という言葉まで生まれた。今昔物語集を下敷きにしたいわゆる「王朝物」の最後の作品であり、創作の度合いは最も高い〔海老井 1999, p. 154〕。また今昔物語の他にもビアス「月明かりの道」、ブラウニング「指輪と本」などとの類似が指摘されている〔高橋 2000, p. 561〕。 芥川の作品中でも屈指の数の論文が書かれており、それ自体がこの短編の名作たるゆえんともなっているが〔畑中 1994, p. 73〕、同時に読者が一人の目撃者として「真相の解釈」という名の証言を行うかのような状況を呈し〔和田 1990, p.385〕、いまだ「真相」は見いだされていない。研究前史においては誰の証言が最も真実に近いのか、芥川の真意はどこにあるのかということが争われたが、近年ではテクストとしての意識が強まり、そういった「藪の中」論そのものを論じたり(読書行為論)、小説内における語りやそれに貫かれているコードを論じる研究が展開され始めている〔高橋 2000, p. 562-564〕〔篠崎 1997, p.18〕。 ==あらすじ== 藪の中で男の死体が見つかった。検非違使に尋問された証人たちの証言、続いて当事者の告白がなされる。 ;検非違使に問われたる木樵の物語 :男の死体の第1発見者。遺留品は一筋の縄と女物の櫛だけ。馬と小刀は見ていない。 ;検非違使に問われたる旅法師の物語 :殺人が起こる前日に男と馬に乗った女を見かけた。 ;検非違使に問われたる放免の物語 :男の衣服を着、弓矢を持ち、馬に乗った盗人・多襄丸を捕縛した。女は見ていない。 ;検非違使に問われたる媼の物語 :死体の男の名は若狭国国府の侍、金沢武弘である。女はその妻の真砂で、自分の娘である。 ;多襄丸の白状 :男を殺したのは私である。最初は男を殺すつもりはなかったが、女に請われたので男の縄を解き決闘して男を殺した。 ;清水寺に来れる女の懺悔 :手中の小刀を使って夫を殺した。自分も後を追うつもりだったが死にきれずに寺に駆け込んだ。 ;巫女の口を借りたる死霊の物語 :妻は盗人に私を殺すようにけしかけたまま、隙をみて逃げた。藪の中に一人残された私は妻が落とした小刀を使い自刃した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「藪の中」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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