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ティーガーI()は、第二次世界大戦期のナチス・ドイツで開発された重戦車である。制式名称は何度か変更されており、最終的にはVI号戦車ティーガーE型()と呼ばれていた。 VI号戦車にはI型とII型の2種類が存在し、それぞれティーガーI、ティーガーII と呼ばれる。本稿ではI型について述べる。 == 設計 == ティーガーI はこの戦車が登場する以前のドイツ戦車と比較し、主にその設計哲学において異なっている。これ以前のドイツ戦車は機動力と装甲、砲力のバランスを重視したものであった。当時、ドイツ軍において最強の砲火力を持つ戦車は、50mm砲装備のIII号戦車であり、これに対して敵戦車の火力が上回ることもあったが、ドイツ軍は優れた戦術でこの不利を跳ね返した。 設計哲学上、ティーガーI はそれまで重視されていたバランスを捨て、機動力を犠牲にして火力と装甲を強化した重戦車である。開発当初、VI号戦車となるべく1937年に作られたDW I、及び翌年作られたDW II、さらに後者を発展させたVK 3001(H)が1941年までに3輌試作されたが、これらの開発は中止となり、より大型のVK 3601(H)の開発が優先された。この車輛はヘンシェル社が開発を行っていたものである。VK 3601(H)には、距離1,400mで100mm厚の装甲を撃ち抜く能力と、前面装甲100mmの防御が要求された〔『ティーガー戦車』39頁。〕。この要求は、のちにドイツ軍が遭遇したT-34との戦訓に由来するものではなく、フランス戦で遭遇したルノーB1やマチルダII歩兵戦車などの連合軍重戦車との戦訓によるものであった。III号戦車、IV号戦車の搭載する短砲身砲が、イギリス、フランスの戦車を撃破するには非力なことは明白で、アドルフ・ヒトラーはこの貫徹力性能の不足に不満を持ち、1941年5月26日、新型戦車開発の命令を下した。この新型戦車は、従来の戦車よりも強力な主砲と装甲を持っていることとされ、また、攻撃の先頭に立ち、敵の陣地を突破できることが要求された〔『PANZER』98年2月号、「ティーガー重戦車Part1 その開発経緯とバリエーション」47頁。〕。 ヘンシェル社のVK3601(H)に搭載する予定であったゲルリッヒ砲の開発は、弾芯に用いるタングステンの不足を理由に中止された。VK3601(H)が要求を満たすには、新規に8.8cm高射砲を改造した戦車砲を搭載することが考慮されたが、これを実現するにはターレット幅の拡大、車体の大型化などの変更を行わざるを得なくなった。そこでヘンシェル社ではVK3601(H)の拡大版として新規にVK 4501(H)を設計することとし、これが後にティーガーI として採用された。砲塔には、並行してポルシェ教授がクルップ社で開発していたVK4501(P)の設計を用いた。これは開発期限に間に合わせるためのやむを得ない処置であった〔『ティーガー戦車』40から41頁。〕。こののち、VK4501(P)は、1942年7月27日にクンマースドルフで行われたVK 4501(H)との比較審査において性能を満たさず、最終的に開発が中止された〔『ティーガー戦車』94頁。〕。 ティーガーI の車体形状とレイアウトはIV号戦車によく似ていたが、戦闘重量57トンと二倍以上の重さがあった。これははるかに厚い装甲と大口径の主砲を備えていることに加えて、この重量を駆動させるために必然的に大きくなる540リットルの燃料タンクと92発の弾薬格納庫、更に大きなエンジン、強固な変速機とサスペンションを備えた結果であった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ティーガーI」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Tiger I 」があります。 スポンサード リンク
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