|
===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 複 : [ふく] 1. (n,pref) double 2. compound ・ 複雑 : [ふくざつ] 1. (adj-na,n) complexity 2. complication ・ 雑 : [ざつ] 1. (adj-na,n) rough 2. crude ・ 系 : [けい] 1. (n,n-suf) (1) system 2. lineage 3. group 4. (2) type of person 5. (3) environment 6. (4) medical department (suf)
複雑系(ふくざつけい、)とは、相互に関連する複数の要因が合わさって全体としてなんらかの性質(あるいはそういった性質から導かれる振る舞い)を見せる系であって、しかしその全体としての挙動は個々の要因や部分からは明らかでないようなものをいう〔Joslyn, C. and Rocha, L. (2000). Towards semiotic agent-based models of socio-technical organizations, Proc. AI, Simulation and Planning in High Autonomy Systems (AIS 2000) Conference, Tucson, Arizona, pp. 70-79.〕。 これらは狭い範囲かつ短期の予測は経験的要素から不可能ではないが、その予測の裏付けをより基本的な法則に還元して理解する(還元主義)のは困難である。系の持つ複雑性には非組織的複雑性と組織的複雑性の二つの種類がある。これらの区別は本質的に、要因の多さに起因するものを「組織化されていない」(disorganized) といい、対象とする系が(場合によってはきわめて限定的な要因しか持たないかもしれないが)創発性を示すことを「組織化された」(organized) と言っているものである。 複雑系は決して珍しいシステムというわけではなく、実際に人間にとって興味深く有用な多くの系が複雑系である。系の複雑性を研究するモデルとしての複雑系には、蟻の巣、人間経済・社会、気象現象、神経系、細胞、人間を含む生物などや現代的なエネルギーインフラや通信インフラなどが挙げられる。 複雑系は自然科学、数学、社会科学などの多岐にわたる分野で研究されているが、学際的に複雑系に特化した研究分野として、システム論、複雑性理論、システム生態学、サイバネティックスなどがある。 == 概略 == 見方によっては人類は何千年も前から自然を相手に複雑系を研究してきたと言えなくも無いが、現代科学としての複雑系の研究は、物理学や化学といった従来の科学分野と比べても、比較的若い分野ということになる。こういった複雑系の科学的研究は、いくつかの異なる流れをたどったものが統合的に整理されて形を成したものである。 中でも数学分野における最大の貢献といえるものは、決定論的な系におけるカオス現象(非線型性に強く関連する力学系のある種の特徴)の発見であろう〔History of Complex Systems 〕。ニューラルネットワークの研究は複雑系の研究に必要とされる数学の推進に欠くべからざるものでもあった。 自己組織化系の概念は、非平衡熱力学における(化学者でノーベル賞受賞者のイリヤ・プリゴジンが散逸構造の研究において開拓した内容を含む)研究と強く関係するものである。 複雑系は異なる種類の構成要素が非線型に関連しあうネットワークであり、突発的な振る舞いを見せる〔Rocha, Luis M. (1999). "Complex Systems Modeling: Using Metaphors From Nature in Simulation and Scientific Models ". BITS: Computer and Communications News. Computing, Information, and Communications Division. Los Alamos National Laboratory. November 1999.〕。一口に「複雑系」と言っても、どのようなスコープで述べた文脈かということに応じて、多少の多義性を持ちうる。 * 一般に複雑性を示す系(本項で記述) * 複雑性を示す系について研究する科学分野(詳細は複雑系の科学を参照) * 複雑性を示す系の抽象的な数理モデルとしての非線型力学系(詳細は複雑性を参照) 複雑系とは何かということについての、厳密ではない定義づけが様々に提案されたが、それらによって複雑系の持つ性質のいくつかは的確に表現されていると考えられる。サイエンスの複雑系についての特集号〔Science Vol. 284. No. 5411 (1999)]〕ではそれらのいくつかに焦点が当てられている。 * 複雑系とは、変化を伴う構造を示す高度に構造化された系のことである (N. Goldenfeld and Kadanoff) * 複雑系とは、その展開が初期条件やわずかな摂動に対して非常に鋭敏な系、相互に作用する独立な構成要因の数が非常に多い系、あるいは系を変化させることのできる経路が複数あるような系のことである。(Whitesides and Ismagilov) * 複雑系とは、それが描く模様やそれを描く函数からは理解も検証も困難な系のことである。(Weng, Bhalla and Iyengar) * 複雑系とは、多数の異なる構成要因の間の複数の相互作用の存在する系のことである。(D. Rind) * 複雑系とは、その過程において一定の漸近的な変化と時間を掛けて現れる変化とを併せ持つような系のことである。(W. Brian Arthur). 複雑系は、単純な要素に分解して法則や原理に落とし込む還元主義の方法論では理解できない。生物を分解してしまうと死んでしまい「生物(生きている物)」として理解できないように、複雑系は分解してしまうと本質が抜け落ちてしまうものだからである。したがって、複雑系の分野を貫く基本スタンスとして「複雑な現象を複雑なまま理解しようとする姿勢」を挙げることができる。 複雑な現象を複雑なまま理解しようとする学問、手法は「複雑系の科学」などと呼ばれることが多いが、その源流に眼を向けると、アリストテレスの「全体とは、部分の総和以上のなにかである」といった言い回しにまで遡ることができる。 近代になって科学哲学において還元主義の蔓延に対して警鐘を鳴らすように、全体を見失わない見解を深化させ、個々の分野で具体的な研究として全体性の重要性を説く論文・著書などを発表する学者・研究者らが現れるようになった。現在ではこうした見解・立場の研究は「ホーリズム」または「全体論」などと呼ばれている。科学哲学の研究者達は、現在のいわゆる複雑系を、広義のホーリズムのひとつである、と位置づけることが多い。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「複雑系」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|