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西部田村事件 : ミニ英和和英辞書
西部田村事件[にしべたむらじけん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

西 : [にし]
 【名詞】 1. west 
西部 : [せいぶ]
 【名詞】 1. the west 2. western part 3. the West 
: [た]
 【名詞】 1. rice field 
: [むら]
 【名詞】 1. village 
: [こと]
 【名詞】 1. thing 2. matter 3. fact 4. circumstances 5. business 6. reason 7. experience 
事件 : [じけん]
 【名詞】 1. event 2. affair 3. incident 4. case 5. plot 6. trouble 7. scandal 
: [くだん, けん]
 【名詞】 1. matter 2. case 3. item 

西部田村事件 : ウィキペディア日本語版
西部田村事件[にしべたむらじけん]

西部田村事件』(にしべたむらじけん)は、つげ義春漫画作品。1967年12月に、『ガロ』(青林堂)に発表された全18頁からなる短編漫画作品である。
== 解説 ==

1966年の『』で新境地を開拓したつげは、突然吹っ切れたかのように「チーコ」、「初茸がり」を、翌1967年には、「李さん一家」、「峠の犬」、「紅い花」など7作品、1968年には「オンドル小屋」、「ほんやら洞のべんさん」、「ねじ式」、「ゲンセンカン主人」など彼の代表作ともいえる7作品を立て続けに発表する。『ガロ』という自由な表現の場を得たことが最大の原因だが、この作品は「紅い花」や「沼」同様に、白土三平につれられ大多喜に出かけた際の印象が発想の根源になっている。それまでのつげは錦糸町下宿に引きこもった生活を送っており、大多喜の自然に触れたことが大きく創作に影響を及ぼした。「自然の風物の何もかもが新鮮に見えて、目からうろこが落ちた」(つげの言葉どおり)らしい。白土の定宿であった寿恵比楼旅館に泊まり、白土とともにしばしば夷隅川へ釣りに出かけた。釣り場へ行くときには、精神病院(現・大多喜病院)の横を通っていくのだが、その際にそこから患者が逃げ出したらどうなるかを空想したことがヒントとなり、作品のストーリーは生まれた。しかし、つげの作品の主題は精神病院や患者に関することではなく、旅の気分、ローカルな気分に自分自身が浸っている感覚を表現することであった。さほどに、大多喜の自然はつげに強い印象を与え、そこでは都会のアパートでの閉塞された生活から自然の中へ開放された至福に浸っていた。また、この作品は、当時傾倒していた井伏鱒二のユーモア小説の影響も多分に受けている。
作中に、夷隅川の堰堤のそばで脱走患者が杭の穴に足を落としぬけなくなる場面が描かれているが、実際には白土三平がその場所で足を落とし膝くらいまではまり込んだ。作品では、穴の中の魚が足をくすぐる逸話があるが、これはつげの創作である。つげは、のちに精神疾患不安神経症)を発症するが、このころよりすでに心の病を持ったものに対するシンパシーを持っており、そうした心情が作品に反映されている。ストーリーそのものは暗い話ではないが、そのラストシーンは妙に物悲しさを誘うが、つげはその寂しさを抑えて出すことにむしろ苦心している。穴の中でぐったりしてしまった魚を流れに帰してやる際に、ネコヤナギの下でしばらくじっとしているシーンも空想であるが、じっとしたあとで泳いでいく終わらせ方は、空想の中ではけっこういいシーンだったとつげ自身は感じた。また、こうした余韻を残す描き方をつげは好み、ひとつの作劇法として身につけていた。起承転結の結が、ドラマ的でない場合は、なにか余韻を持つべしとするのがつげの持論である〔『つげ義春漫画術』(下巻)〕。
大多喜での旅の印象が、つげに直後から一般読者にも人気を博すことになる「旅もの」を描かせる大きなきっかけとなったが、この作品がそのはじまりといってよい。つげ自身、この作品から旅ものを描くのが面白くなったと述べている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「西部田村事件」の詳細全文を読む




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