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『壁』(かべ)は、安部公房の中編・短編集。「S・カルマ氏の犯罪」「バベルの塔の狸」「赤い繭」(「赤い繭」「洪水」「魔法のチョーク」「事業」)の3部(6編)からなるオムニバス形式の作品集である。1951年(昭和26年)5月28日に石川淳の序文を添えて月曜書房より刊行された。 表題作でもある「壁―S・カルマ氏の犯罪」は安部の最初の前衛的代表作で、第25回芥川賞を受賞した〔高野斗志美『新潮日本文学アルバム51 安部公房』(新潮社、1994年)〕。ある朝突然、「名前」に逃げ去られた男が現実での存在権を失い、他者から犯罪者か狂人扱いされ、彼の眼に映る現実が奇怪な不条理に変貌し、やがて自身も無機物の壁に変身する物語で〔佐々木基一「解説」(文庫版『壁』)(新潮文庫、1969年。改版1988年)〕、帰属する場所を失くした孤独な人間の実存的体験と、成長する固い壁に閉ざされる空虚な世界と自我の内部が、安部公房特有の寓意や叙事詩的な軽さで表現されている〔。 == 発表経過・創作意図 == 「第一部 S・カルマ氏の犯罪」は、1951年(昭和26年)、雑誌『近代文学』2月号に「壁―S・カルマ氏の犯罪」の表題で掲載され、同年7月30日に第25回(昭和26年上半期)芥川賞を受賞した。「第二部 バベルの塔の狸」は同年、雑誌『人間』5月号に「バベルの塔の狸」の表題で掲載(挿絵は桂川寛)された。「第三部 赤い繭」は、前年1950年(昭和25年)、雑誌『人間』12月号に「三つの寓話」(「赤い繭」「洪水」「魔法のチョーク」)の表題で掲載され、1話目「赤い繭」は第2回(1950年度)戦後文学賞を受賞した。なお、「第三部 赤い繭」の4話目「事業」は同年10月に、世紀の会刊行パンフレット「世紀群叢書5」に掲載された〔「作品ノート2」(『安部公房全集 2 1948.06-1951.05』)(新潮社、1997年)〕。以上の6編をまとめて収録した単行本『壁』は、1951年(昭和26年)5月28日に月曜書房より刊行された。 安部公房は、3部作は一貫した意図によって書かれたもので、壁というのはその方法論にほかならないとし〔安部公房「あとがき」(『壁』)(月曜書房、1951年)〕、以下のように述べている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「壁 (小説)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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