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赤外線捜索追尾システム(, IRST system)は、赤外線を放射する目標を探知・識別して警報を発するとともに、これを追尾する機能を備えたシステム。赤外線照準追尾システムとも称される。 赤外線を検知するという点ではFLIR(前方監視赤外線)装置と共通するが、FLIRが赤外線画像(サーモグラフィー)を作成するための熱線映像装置であるのに対して、IRSTは遠距離の点目標を追尾するための装置であることから、原則的には異なるものである。ただしAN/AAQ-40 EOTSのように、FLIRとIRSTを適宜に切り替えて使用できるシステムも登場している。 == レーダーとの違い == IRSTとレーダーの違いは、多くの点で使用する波長の違いに起因する。 IRSTは受動的にのみ働き、レーダーのように自らは放射波を出さないために被発見性が低い。レーダーをパッシブモードという受信のみに使用することは可能だが、探知対象となる航空機側ではレーダー電波を必要時以外は放射しないため、あまり有効ではない。一方、すべての航空機はなんらかの赤外線を放射しながら飛行するため、IRSTは受動的でも有効に機能する。 赤外線の波長はレーダーの電波に比べて1,000分の1以下と短いため受信面が小型で済み、電子技術や光学技術の向上もあってセンサー部が小さく構成できる。遠方からの微弱な電波まで探知するにはレーダーアンテナの受信面が大きくなければならず、レーダーを備える多くの航空機ではアンテナを機首に1つだけを備えるに留まり、探知界は前方と一部の側方に限られて後方は探知できない。IRSTはセンサー部が小型で済むため、小さな機体にも多数を配置して上下を含む360度全周を覆域に納めることができ、また、センサー部を機体より突出させれば少数のセンサーで広範囲を担当させることも可能である〔レーダーアンテナはステルス性を阻害する大きな要因であり、小さなセンサー部もステルス性を悪化させないように求められ、突出させればステルス性とともに空力特性への影響も避けられない〕。 しかし、可視光ほどではないが大気による赤外線の吸収や悪天候によっても減衰され、赤外線は自然界に満ち溢れていてノイズとなり、探知すべき対象物をその背景から探し出さねばならず、レーダーに比べれば探知可能距離は短い。レーダーでは距離測定が容易であるのに比べてIRSTは苦手である。ある種のIRSTはレーザー測距機能を持つが、探知距離に比べてかなり短い。その反面、近距離であれば短波長なので角分解能はレーダーに勝る。赤外線放射はその物の温度に応じて波長のピークが変わるため、複数波長のセンサーによって探知対象物の温度特性が得られる。 一般に航空機用のセンサーとして赤外線式のものはレーダーに比べて30年ほど遅れており、最初に戦闘機に搭載されたのは1970年代後半にソ連のMiG-29とSu-27での機内搭載式のものである。1980年後半になって米国のF-14Dでもポッド型で搭載可能となった〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「赤外線捜索追尾システム」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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