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赤外線銀河 : ミニ英和和英辞書
赤外線銀河[せきがいせんぎんが]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [あか, あけ]
 (n) 1. red 2. crimson 3. scarlet 4. communist
赤外 : [せきがい]
 (adj-na) infrared
赤外線 : [せきがいせん]
 【名詞】 1. infra-red rays 
: [そと, ほか, げ, がい]
 【名詞】 1. other place 2. the rest 
外線 : [がいせん]
 【名詞】 1. outside telephone line 2. outer circle
: [ぎん, しろがね]
 【名詞】 1. (1) silver 2. silver coin 3. silver paint
銀河 : [ぎんが]
 【名詞】 1. Milky Way 2. galaxy 
: [かわ]
 【名詞】 1. river 2. stream 

赤外線銀河 : ウィキペディア日本語版
赤外線銀河[せきがいせんぎんが]

赤外線銀河(せきがいせんぎんが、LIRG〔1990年代までの文献では、LIGとしてあることも多い。その場合、超高光度赤外線銀河はULIGと書く。〕: Luminous infraread garaxi)とは、銀河の内部からのエネルギーにより銀河の星間ガスや塵が暖められ、それが赤外線を強く再放射している銀河である。エネルギーのほとんどを赤外線で放射しており、赤外線(8-1000μm)の光度(luminosity)が太陽の1011倍(しばしば1011L _ と表記される〔 _ は何かの量が太陽を基準にあらわした量であることを示す。太陽の輻射量は3.83×1033erg・s-1(Sanders et al. 1996, p.753)としている。〕)以上のものを赤外線銀河〔ただし、マーフィは論文の中で、赤外線銀河を1011.3L _ <1012.0L _ と定義している( T. W. Murphy, et al. chapter 4.4)。〕といい、1012倍以上のものは特に超高光度赤外線銀河(ULIRG:Ultra luminous infraread garaxi)と呼ばれる。1013倍以上のものをハイパー高光度赤外線銀河(HLIGR又はHyLIG)と呼ぶ〔Sanders et al. 1996, p.753〕。赤外線銀河は星や銀河の生成・発達と密接に関係があると考えられている。
==特徴==

その名があらわすとおりに、赤外線で強く輝いていることが最大の特徴である。可視光で輝いている通常の銀河の場合は赤外線による発光は弱い。従来から可視光で観測されてきた天の川銀河近傍の天体で、1011L _ より大きい赤外線光度をもつものはまれである〔。以前から知られていたセイファート銀河スターバースト銀河の中には赤外線でも強く輝いているものがあるが、それでも、可視光で輝いている銀河で、赤外線の光度が1011.5L _ より大きいものはほとんどない〔Sanders et al. 1996, p.754〕。波長ごとの放射流束(flux)を比較すると、全体の赤外線光度が大きくなるほどf60/f100(波長100μmの放射流束に対する波長60μmの放射流束の比)が大きく、f12/f25が小さくなる傾向がある〔Sanders et al. 1996, pp.757-758。この部分はIRASの観測結果を元にした記述である。IRASが12μm、25μm、60μm、100μmの波長で観測したので、IRASの観測結果の分析はこの4つの波長で行われる。〕。これらの波長ごとの比は、直感的に言えば発光源の色味を示す。また、波長の短いものの放射流束の率が高いということは、より暖かい色である(またはより"青い")ことを示す。実際に放射エネルギーの連続スペクトルグラフを描くと、100μmから60μmの付近にピークがある〔Sanders et al. 1996, p.757 Figuare 2〕。
赤外線による発光が比較的強い銀河のうち〔より具体的には、IRASが25μmと60μmで観測して、60μmの放射流束が25μmのものより大きいものについて調査した結果。〕、赤外線強度が109L _ より小さい銀河はEまたはS0の形態つまり楕円銀河をであることが多く、1010-1011L _ の銀河は多くが渦巻銀河(SbやSc)である〔G. H. Rieke, M. J. Lebofsky "The luminosity function for field galaxies in the infrared" The astrophysical journal, Vol. 304, 1986, p.332〕。赤外線銀河、つまり1011L _ より赤外線強度が高いものについては、形態が確認できないほど遠方にあることも多いが、形態が確認できるものについては、複数の銀河が衝突(合体)しつつあるか、そうでなくても不規則な形態をもつものが多い。超高光度赤外線銀河については、そのほとんどには衝突との関連が認められる。衝突した銀河かどうかは、その可視光による形態から明らかなこともあるし、様々な波長域の観察により核が複数あることからも分かることもある。超高光度銀河について調査した結果によれば、核と核の距離は10キロパーセク以内にあることが多く、離れていても数10キロパーセク程度である〔Sanders et al.1996, p.760〕。
赤外線銀河の赤外線強度と可視光による銀河の分類を比べることのできるものについては、赤外線強度が強いグループになるほど、その中でのセイファート銀河の割合が増える。赤外線強度が1010-1011L_ の銀河のうち、セイファート銀河の占める割合は数パーセントだが、1012.3L_ より大きいものの中では、半数弱をセイファート銀河が占める。ライナー型銀河の割合は約3割で、赤外線強度との関係は見られない。残りはスターバースト銀河で、赤外線強度が強いものになるほど、その中で占める割合が少なくなっている〔Sanders et al. 1996, p.761〕。

赤外線銀河は大量のガスを含む。中心部の水素分子密度が、天の川銀河のそれに比べて数十 - 数百倍ある〔Sanders et al. 1996, p.768〕。単純な円運動だけでなく、乱気流をなして激しく運動していることが観測される。ミラベルらが遠赤外線〔ここでは波長40-500μmの領域のこと。〕の光度が 2×1010L _ より大きい銀河について調べた報告によれば、太陽質量の5×108から 3×1010倍の質量の水素原子を含む。ただし、水素原子の量と遠赤外線光度の間に明確な関係はない〔I. F. Mirabel, D. B. Sanders "21 centimeter survey of luminous infrared galaxies" The astrophysical journal, Vol. 335, 1998, p.104〕。水素分子は単離水素より存在量が多く、1-30×109M _ M _ は太陽質量を意味する。〕ほど存在する。これは天の川銀河の7-20倍の量に当たる〔Sanders et al. 1996, p.767〕。また、その大量の分子ガスのために、新しい星が多く生まれている。天の川の銀河系では、1年間に太陽の質量1ヶ分程度の新しい星が生まれているのに対し〔 芝井 広『銀河誕生の謎に迫る』名古屋大学理学部・理学研究科 広報誌 03, 2002年, pp.10-11 〕、例えば、典型的な超高光度銀河の周辺部では合計して太陽質量の10-20倍、中心部では太陽質量の50-80倍もの量の新しい星が生まれている〔Murphy et al. chapter 4.1〕。
宇宙にはメーザーを発している天体がある。特に赤外線銀河の中には、天の川銀河内に見られるOHメーザー源(水酸基から放射されるメーザー)と比べて106倍もの強さのOHメーザーを発しているものが知られている。このような強力なメーザー源はメガメーザーと呼ばれる。1982年、超高光度赤外線銀河のArp 220(IC4553)内にメガーザーが発見されて〔W. A. Baan, P. A. D. Wood, A. D. Haschick "Broad hydrosyl emission in IC4553" The Astrophysical Journal, Vol. 260, 1982, pp.49-52〕以来、多くのメガメーザーが見つけられている〔バーンは1993年に出版された書籍(ed.
A. W. Clegg, G. E. Nedoluha 'In Astrophysical Masers' Springer Verlag, 1993, New York p. 73)の中で、約50のメガメーザーを挙げている(Sanders et al. 1996, p.769)〕。メガメーザーの多くは、赤外線光度が2×1011L_ より大きく、f60/f100が0.75-1.2の赤外線銀河に見つかっている〔I. F. Mirabel, D. B. Sandars "OH Megamasers in high luminosity IRAS GALAXIES" The Astrophysical Journal Vol. 322, 1987, p.692〕。銀河の中では、星間ダストから放射される赤外線によって水酸基が励起され、そのエネルギーがメーザーとして放射されているものと考えられている〔W. A. Baan, A. D. Haschick "The peculiar galaxy IC 4553: VLA-A observations of the OH megamaser" The Astrophysical Journal Vol. 279, 1984, pp.541-549〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「赤外線銀河」の詳細全文を読む




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