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遅延記憶装置(ちえんきおくそうち)とは、媒体が音波などを伝える際の遅れを利用し、信号を循環させ記憶装置として使用するものである。種類によっては、遅延線記憶装置(delay line memory)という。技術的にはレーダーで使う信号処理技術などから生まれたもので、黎明期のコンピュータでよく使われた。 構成方法にもよるが、たとえば加算器に直列加算器が使えるなど、部品数を抑えて多くの情報を扱えるコンピュータを作ることができる、という利点がある。これは安上がりという点だけではなく、初期のコンピュータの多くが苦労した信頼性という点でも重要である。 == 水銀遅延線 == 黎明期のコンピュータで主記憶装置としてよく使われた遅延記憶装置が、水銀遅延線(すいぎんちえんせん)である。記憶装置としては、ジョン・エッカートが考案した。水銀の中の超音波を利用する。英語 delay line memory から(delay memory とはしない)「遅延線」の語があるが、線というより管であることから水銀遅延管(すいぎんちえんかん)とも呼ばれる。英語でも mercury delay tube としている例が見られる。(真空管と勘違いしないように〔『ウィルクス自伝』12章、p. 156〕)tank の語を使うことも見られる。 File:Delay line memory fr.svg 水銀を詰めた管の両端に圧電素子をとり付けた構造をしている。片方の素子に信号を入力し、圧電効果(逆圧電効果)による振動で超音波を発生させる。超音波は水銀を媒体として管の中を伝わり、反対側の圧電素子を振動させる。振動させられた圧電素子は圧電効果により電圧を誘起するため、ここから入力信号と同様の波形を持つ信号が取り出せる。これを増幅して再び入力側に戻す(regeneration(再生)などと言う)と、信号が循環して、記憶装置として使うことができる。 このように、水銀遅延線では水晶振動子を電気信号で振動させ、水銀の中を振動が伝わっていく時間の分だけ、振動という形で情報を保持させることができる。 水銀遅延線は初期のコンピュータに用いられ、EDSACやEDVAC、UNIVAC Iで採用された。また、日本初の電子式コンピュータ、FUJICにも水銀遅延線が使われている。 (なお、設計としては、片方を開放端か固定端として信号が反射するようにし、入力と取り出しを同じ側でおこなう、というものもありうる) 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「遅延記憶装置」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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