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運動エネルギー回生システム(うんどうエネルギーかいせいシステム、)は、ブレーキング時のエネルギーを回収・蓄積し、再利用するシステムの総称。自動車レースのフォーミュラ1(F1)において2009年シーズンに導入され、2010年以降はスポーツカーレースでも搭載されるようになった。 F1では「(カーズ〔日本語では「カーズ」と読むが、実際の発音は「ケアーズ」に近い(出典:『F1速報PLUS Vol.17』、イデア、2011年、106頁。)。〕)」の略称で呼ばれたが、2014年のレギュレーション変更により、運動エネルギーのみならず熱エネルギーの回生も行う新たなシステムへ発展。名称はエネルギー回生システム( = 、アーズ、イーアールエス)となった。この項では便宜上、ERSについても扱う。 == KERS == === 原理 === 一般的なレーシングカーはコーナー手前でブレーキングする際、前進方向の運動エネルギーを熱エネルギー(ブレーキディスク・パッドの摩擦熱)として捨てることで車速を落としている。KERSではこの余剰エネルギーを車体内に一時保存しておき、規定の範囲内でエネルギーを放出して、駆動輪の回転をアシストする。量産車のハイブリッド技術をレースに応用したものであり、内燃機関(エンジン)の出力にエクストラパワーを追加することで、追い越し(オーバーテイク)の機会を増やし、レース展開を活性化する可能性が見込まれる。 同じハイブリッド技術といっても、量産車の場合は燃費向上やメンテナンスフリーといった点が重視されるが、レーシングカーの場合はラップタイムの短縮が第一であるため、求められる性能は異なる。「急減速・急加速に応答するレスポンス(パワー密度)」「軽量コンパクト」「設置位置の自由度(前後重量配分や低重心化)」「過酷な使用環境(熱や振動)における信頼性」といった要件を満たす必要がある。 エネルギーの保存・再利用は3つの方法がある。 ;電気式 :駆動系に電動機/発電機ユニット (Motor Generator Unit = MGU) を設置。減速時にはジェネレーターの抵抗を制動力として用いつつ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して(いわゆる回生ブレーキ)、バッテリー(リチウムイオン電池)に充電する。KERS使用時には逆のルートで電流を送り、モーターを駆動して運動エネルギーに再変換する。 :市販車で蓄積された技術的ノウハウを利用できることが特徴。ただし、電池は化学反応によって蓄電するためパワー密度が低く〔『オートスポーツ』2013年2月1日号(通号1348)、三栄書房、38-39頁。〕、バッテリーパックの重さや熱管理という課題もある。イオンの物理反応を用いる電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)はリチウムイオン電池の3倍のパワー密度を持つが〔、エネルギー容量が小さいためサイズが大きくなってしまう。 : ;機械式 :駆動系に小型のはずみ車(フライホイール)を設置。減速時の余剰エネルギーをトロイダル式CVTで増速し、真空ケース内のフライホイールを高速回転させることで保存する〔"小倉茂徳 (2009年7月12日)政争の具になったKERS(2/3) ". ''OCNスポーツ モータースポーツコラム''. 2013年5月27日閲覧。〕。KERS使用時にはCVTで減速して、運動エネルギーをギアボックスへ戻す。 :構造がシンプルで軽量化できる上に、運動エネルギーを直接やり取りするため、エネルギーの損失が少ない〔。しかし、高速回転体にエネルギーを貯めこむため、安全性に一抹の不安がある。また、ユニットの形状と搭載位置が制約されるため、パッケージングの自由度に欠ける。 ;電気+機械式(電動フライホイール) :駆動系のジェネレーターで生成した電気エネルギーをMGU内蔵型のフライホイールへ送り、モーターでローターを回転させ、運動エネルギーとして保存する。KERS使用時にはローターの回転でジェネレーターを作動し、電気エネルギーを駆動系のモーターへ送る。 :前2種類の折衷タイプであり、電気式よりも軽量で、機械式よりも設置場所を選ばないというメリットがある。 これらの機器に、電子制御装置 (ECU) や、(電気式の場合は)電流を変換するインバーターを加えて全体のシステムが構成される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「運動エネルギー回生システム」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Kinetic energy recovery system 」があります。 スポンサード リンク
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