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適応放散 : ミニ英和和英辞書
適応放散[てきおうほうさん]
adaptive radiation
===========================
適応 : [てきおう]
  1. (n,vs) adaptation 2. accommodation 3. conformity 
放散 : [ほうさん]
  1. (n,vs) radiation 2. diffusion
適応放散 : ウィキペディア日本語版
適応放散[てきおうほうさん]

適応放散(てきおうほうさん、)は、生物進化に見られる現象のひとつで、単一の祖先から多様な形質の子孫が出現することを指す。
== 定義 ==
生物の進化は、一つの種が次第に複数の種に分かれることを繰り返すことで起こったものと考えるのが、現在の進化論の定説である総合説の判断である。したがって、一つの祖先から多様な子孫が出現する、というだけでは、全ての進化に当てはまってしまう。しかし、その分かれ方が、あまりに甚だしく、広範囲にわたる場合に、特にそれを指して適応放散と呼んでいる。
より具体的には、様々な地方で個々に種分化が起きる異所的な種分化ではなく、同一地域において様々なニッチ(生態的地位)へと種分化が起きる同所的な種分化が起こっている場合に、このように呼ばれる。ただし、異所的な種分化が起きる場合でも、こう言われることもある。
最も代表的な例は、哺乳類有袋類におけるものである。有袋類の分布はほとんどオーストラリア大陸に限定され、また、オーストラリア大陸にはそれ以外の哺乳類としては単孔類コウモリしかいなかった。これは、より高等な哺乳類が出現する前に大陸移動によって孤立し、その後、その内部で高等な哺乳類が出現することもないままに、他の大陸とも繋がらずに孤立を続けたためと言われる。
残りの大陸では高等な哺乳類が出現し、アフリカアジアを中心に分化を続け、我々が知っているような様々な哺乳類を生み出したわけである。そのような知識を持って西洋人がオーストラリア大陸に入った時、初めて有袋類が科学の世界に知られた。そこには、カンガルーのような他に例のない姿のものもあったが、ネズミのような、リスのような、あるいはのような見覚えのある姿に近いものもあった。そして、それらが全て有袋類という、一つの群であったわけである。
実際に、有袋類の多様性はそれ以外の哺乳類全体の多様性に近いものがあり、特に古くない時代の絶滅種を含めれば、ほとんどクジラとコウモリ以外全部、というほどである。これは、有袋類以外に哺乳類が存在しなかったオーストラリア大陸では、外の地域で様々な哺乳類の群が取り合ったニッチを、有袋類だけで埋めることができたためと考えられる。
他方、哺乳類全体を考えた場合も、より大きい目で見れば、これを適応放散の結果と見なすことも可能である。
なお、先にも述べたように、適応放散そのものは一般的な種分化によって起こるものと考えられているから、この両者の明確な区別はなく、適応放散はさまざまな規模のものに対して使われる言葉である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「適応放散」の詳細全文を読む




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