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内縁(ないえん)とは、社会一般においては夫婦としての実質をもちながらも、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係をいう。 なお、講学上、婚姻事実関係一般について「事実婚」という概念が用いられることもあり、内縁の同義語・類義語としても用いられるが〔新村出編 『広辞苑 第6版』 岩波書店、1223頁〕〔内田貴著 『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』 東京大学出版会、2004年3月、141頁〕、講学上において「事実婚」という概念を用いる場合には、当事者間の主体的な意思に基づく選択により婚姻届を出さないまま共同生活を営む場合として概念づけて二つの概念が区別されることも多い(後述の#事実婚の問題を参照)〔内田貴著 『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』 東京大学出版会、2004年3月、144頁〕。 == 内縁の法的位置 == 先述のように、内縁は社会一般においては夫婦としての実質がありながら、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係を指す〔〔。明治民法は婚姻の成立について届出による届出婚主義を採用したが、旧慣との相違、また、明治民法の下では婚姻には戸主の同意が必要とされ、男性は30歳・女性は25歳に達するまで婚姻には親の同意を必要としていたこと、さらに推定家督相続人は他家へ入ることができないなど家制度に関わる制約から婚姻の届出がなされない場合を多く生じたとされる〔内田貴著 『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』 東京大学出版会、2004年3月、141頁〕。 初期の判例・学説は内縁関係を何ら法律上の効果を生じない単なる男女関係とみていたとされる(大判明44・3・25民録17輯169頁)〔〔。 その後、判例は内縁関係について、将来において適法な婚姻をなすことを目的とする婚姻の予約であると構成し、この予約の不当な不履行は債務不履行責任が成立し損害賠償を請求しうるとした(内縁を婚姻の予約と構成しつつ不法行為責任については否定した判例として大連判大4・1・26民録21巻49頁。以後。契約上の責任を認めた判決として大判大8・3・21民録25輯492頁、大判昭6・2・20新聞3240号4頁など)〔〔。 しかし、このような法的構成は内縁関係を不当に破棄された者については保護しうるが、現に内縁関係にある者を保護や第三者との関係における問題解決の論理としては難がある。そこで、通説は内縁関係を婚姻に準じる準婚関係であるとみるようになった(いわゆる準婚理論)〔。その後、判例法理も内縁の不当破棄は不法行為責任を生じうるとして、この法理を採用するに至ったとされる(最判昭33・4・11民集12巻5号789頁)〔〔。 第二次世界大戦後の民法改正の過程においては、届出婚主義を改め儀式婚主義あるいは事実婚主義をとるべきとの主張もあったが、原則として両性の合意があれば届出によって自由に結婚できるようになり、また、届出婚主義が浸透したことなどから届出婚主義は維持されることとなった。内縁の実数の把握は容易ではないものの、一般には戦後減少傾向にあるとされ、また、質的にも法律的な要因による内縁から事実的・選択的な内縁への変化がみられるとされている〔。 先述の明治民法の下での家制度に関わる婚姻の制約が戦後の民法改正により無くなった今日、内縁関係が成立する場合としては、(1)婚姻障害が存在する場合(後述の重婚的内縁など)、(2)単に届出が遅れている場合(新婚旅行後に婚姻届が提出される場合など)、(3)当事者が意図的に届出を行っていない場合(後述の事実婚の問題)などに限られる〔内田貴著 『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』 東京大学出版会、2004年3月、144-145頁〕〔鈴木禄弥著 『親族法講義』 創文社、1988年4月、85頁〕。 現代型の内縁関係において従来の準婚理論がなお妥当するか否かについては様々な議論があり、重婚的内縁など婚姻障害が存在する場合に無条件に婚姻類似の効果を認めることは法の趣旨に反し妥当でなく〔内田貴著 『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』 東京大学出版会、2004年3月、144頁〕〔鈴木禄弥著 『親族法講義』 創文社、1988年4月、87頁〕、また、当事者が意図的に事実婚を選択している場合についても婚姻類似の効果を認めることは当事者の意思に反するとともに届出婚主義を害するのではないかとの指摘もある〔小野幸二著 『演習ノート 親族法・相続法 全訂版』 法学書院、2002年4月、89頁〕。 以上のような点などから今後の内縁の法的保護のあり方については議論がある〔〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「内縁」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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