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『金剛般若経』(こんごうはんにゃきょう)、正式名称『金剛般若波羅蜜経』(こんごうはんにゃはらみつきょう、, ヴァジュラッチェーディカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ)とは、大乗仏教の般若経典の1つ。略して『金剛経』(こんごうきょう)とも言う。 原題は、「ヴァジュラ」(vajra)がインドラの武器である「金剛杵」あるいは「金剛石」(ダイヤモンド)、「チェーディカー」(chedikā)が「裁断」、「プラジュニャーパーラミター」(prajñāpāramitā)が「般若波羅蜜」(智慧の完成)、「スートラ」(sūtra)が「経」、総じて「金剛杵(金剛石)のごとく(煩悩・執着を)裁断する般若波羅蜜(智慧の完成)の経」の意。 ==概要== その長さから、「三百頌般若経」等とも呼ばれる。比較的短編の経典であり、より大きな般若経典の要約・要綱として編纂されたとも考えられるが、用語や形式に原初的な要素が見られるため、3世紀以前の大乗仏教初期には既に成立していたと考えられている〔『大乗仏典1』 中公文庫 p325〕。他の般若経典と同じく「空」思想を説くものでありながら、「空」の語彙が一度も用いられていないことも特徴の1つ。 比較的短編であることと凝縮されたその内容から、インド、中央アジア、東アジア、チベット各地に普及・流行し、注釈書も数多く作られた。チベットやモンゴルでは、この経を「紺紙金泥」で写経する風習が現在まで続いている。東アジアでは、禅宗の第六祖(南宗初祖)である慧能がこの経の一句で大悟したとされ、禅宗で特に愛読される他、天台宗、三論宗、法相宗、真言宗といった宗派、あるいは中国、日本といった地域を問わず、更には儒家・道家に至るまで、百数十の註釈・講義が成立するなど、その影響は各方面に渡った。 サンスクリット原本、漢訳、チベット語訳はいずれも現存しており、漢訳は下記の計8種がある。 *鳩摩羅什訳 『金剛般若波羅蜜経』(402年、大正蔵235) *菩提流支訳 『金剛般若波羅蜜経』(509年、大正蔵236a) *菩提流支訳 『金剛般若波羅蜜経』(509年、大正蔵236b、宋本のみ異テキスト〔大正蔵には『大品般若経出到品第二十一』も宋 思渓資福藏の異テキストを収録している。〕) *真諦訳 『金剛般若波羅蜜経』(562年、大正蔵237) *達磨笈多(ダルマグプタ)訳 『金剛能断般若波羅蜜経』(590年以降、大正蔵238) *玄奘訳 『能断金剛般若波羅蜜多経』(648年、弘教蔵〔東京弘教書院『大日本校訂 大藏経』(縮刷藏本、1880~1885年)〕般若部月9 玄奘は金剛経を2回漢訳しており、これは1回目の翻訳。大正蔵には収録されていない) *玄奘訳 『大般若波羅蜜多経』(660~663年、大正蔵220)全16会 600巻中 第577巻『第九会 能断金剛分』 *義浄訳 『仏説能断金剛般若波羅蜜多経』(703年、大正蔵239) 歴史的には鳩摩羅什訳が最もよく普及・依用された。漢訳では最も古い鳩摩羅什訳にのみ末尾に音写の真言が付されている。また禅宗依用の坊本などにはこれとは異なる真言が付されているものもあるが、いずれもその経緯は解明されていない。なお、チベット訳は年代を下るので真言が付されている。〔「東洋文庫所蔵・河口慧海将来蔵外写本 チベット語訳『金剛般若経』と『法華経』について」 庄司史生(2011年、立正大学 仏教学部 仏教学科 助教)〕 インドで作られた註釈は6種あるが、サンスクリット原本が残っているのは、瑜伽行唯識学派のアサンガ(無著)による『三百頌般若波羅蜜に対する七十頌』という七十七の頌から成るものだけである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「金剛般若経」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Diamond Sutra 」があります。 スポンサード リンク
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