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鉛釉土器(Plumbate ware)とは、メソアメリカ、とくにグアテマラからユカタン半島までのマヤ地域において比較的濃密に流通した表面に独特の光沢を持つ釉がかかったように見える焼成の良い土器のことをいう。古典期終末から後古典期にかけて広範に流通した。 Anna O. Shepardによって製作技法の研究が行われ、灰色に見える表面の釉調は、鉛によるものでないことが明らかになった。つまり空気を送らないで950度で焼成すると、酸化アルミニウムや鉄分を含む釉薬がガラス化して鉛釉土器の表面にかかっている釉薬のように光沢のある状態になることが判明した。 トヒール鉛釉土器(Tohil Plumbate)の壷と動物の頭が取り付けられた西洋梨のように下膨れの壷、あるいは複雑な刻線文様が刻まれた土器はニカラグアからメキシコ北西部ナヤリー(ナヤリット)州まで広く分布している。後古典期初期の重要なセンターであるチチェン・イッツアやトゥーラ=ヒココテイトランでも重要な意味を持つ遺物となっている。 トヒール鉛釉土器は広範に分布しているが、しばしば良質オレンジ(Fine Orange)土器も連動して出土することがある。このことは、後古典期前期の広域にわたる商業活動を物語っている。トヒール鉛釉土器の頻度が最高潮に達するのはグアテマラ高地西部の副葬品としてである。 鉛釉土器の器形には、よりシンプルな碗形、円筒形、複合的で対称的な器形があり、それらはサンファン鉛釉土器(San Juan Plumbate)とよばれ、チャパス州、エルサルバドル西部の太平洋岸などに限って流通していた。 サンファン鉛釉土器の破片が最も多く検出されるのはメキシコとグアテマラの国境付近であり、鉛釉土器の生産地がその付近であることを示している。サンファン鉛釉土器は、時期的には古典期後期に位置づけられると思われる。 鉛釉土器の鉱物学的な分析や化学組成的な特徴は、やはり、広い分布を示すトヒール鉛釉土器とより単純な形で知られるサンファン鉛釉土器に区分できる。 明確な鉛釉土器として分類され、roblesと呼ばれてきた大甕は、サンファン鉛釉土器に属する土器である。サンファン=グループの鉛釉土器は、グアテマラ太平洋岸で生産される土器の一部であって、グアテマラ太平洋岸でこそ、鉛釉土器の最も多様な器形を確認することができる。加えてグアテマラ太平洋岸には、地域的な特色を濃厚に示す第三のグループともいうべきグアヤバル(Guayabal)式がみられる。グアテマラ太平洋岸では、碗形土器とほかの単純な形をした土器もトヒール鉛釉土器に属するものが多いことがわかっている。このことから考えると広範な交易品として用いられる動物の頭をつけたり神の顔のようなレリーフのある特色ある形状のトヒール鉛釉土器は、グアテマラ太平洋岸で生産される鉛釉土器伝統を背景にもつ特殊な一形態であると考えられる。 ==参考文献== Neff,Hector 2001 :‘Plumbate Ware’,Archaelogy of Ancient Mexico and Central America:An Encyclopedia,(eds.by Evans,S.T and D.L.Webster),Garland Pub.Inc.,N.Y. ISBN 0-8153-0887-6 えんゆうとき えんゆうとき es:Cerámica plumbate 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「鉛釉土器」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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