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『鍵のかかる部屋』(かぎのかかるへや)は、三島由紀夫の短編小説。戦後まもない日本の混乱期における一青年の頽廃的な内面を描いた作品である。敗戦から2年半の無秩序な雰囲気が漂う時代、財務省(当時は大蔵省だが、作中で「財務省」となっている)に入省したばかりのエリート官吏の青年が、或るコケティッシュな少女へサディスティックな幻想を抱く物語。現代人の疎外感を内的に描き、時代精神をも表現している作品である〔奥野健男「『潮騒』と『鍵のかかる部屋』の矛盾」(『三島由紀夫伝説』)(新潮社、1993年。新潮文庫、2000年)〕〔〔。 1954年(昭和29年)、文芸雑誌『新潮』7月号に掲載され、同年10月15日に新潮社より単行本刊行された。なお、1970年(昭和45年)6月には、純金象嵌番号鍵がはめこまれて、国電四谷駅入場券や主人公の名刺が添付された作者署名入り豪華限定版が刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されている。 == 作風・文体 == 『鍵のかかる部屋』は、ちょうど同時期に発表された『潮騒』の健康的な明るい作風の世界とは全く反対で、「異常性欲を批判精神として表現し、生への指向とは別の破滅への指向を極端なかたち」で描いていると奥野健男は解説し〔、文体も、それまでの三島の硬質な明晰簡潔の文体、事物の表面を表現する「古典的文体」とは違い、「内部の渾沌に入って行くような自意識過剰的な饒舌」な文体に変化させているとしている〔。 三島由紀夫は『鍵のかかる部屋』について、発表から11年後に次のように述べている。 この文体崩しは、三島に反社会的無頼派になることを期待していた奥野健男が、「現代文学者ならまずその整合した硬質な窮屈な文体をこわし、表面でない渾沌たる内部や深層意識をこそ表現すべきだ」と表明した『三島由紀夫論』〔奥野健男「三島由紀夫論」(文學界 1954年3月号に掲載)〕を受け、三島が実験的に試みた文体破壊であったという〔。のちに奥野は三島から、君の意見に影響されて文体を壊して書いたが、「惨憺たる結果で失敗作だった」と言われ、「二度と君のおだてにうかうか乗るような愚は犯したくない。ぼくは君と違って表面の硬質の美だけに真実があるのだと信じて、それを表現したい」〔と宣言されたという。奥野は、自分のような「青二才の文芸評論家」の忠告からヒントを得ようとし、真面目に将来の作家としての道に悩み、文体の変革を実験したことに感無量だったと述懐している〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「鍵のかかる部屋」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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