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鎮静薬(ちんせいやく、英:Sedative)は、中枢神経系に作用し興奮を鎮静する薬物である。睡眠薬として利用される場合もある。また、手術の麻酔前に投与されることがある。この用語が、19世紀から薬剤の種類を表すため頻繁に用いられたのは、当時は鎮静させることが精神医療の薬物療法による主な治療法であったためであり、20世紀中ごろまではバルビツール酸系を用いた持続睡眠療法などが研究された。 1950年代にはトランキライザー(精神安定剤)の語によって登場した抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系といった様々な薬により、患者は過剰な鎮静を得ずとも症状を抑えて生活できるようになった。 現在では抗不安作用などの区別も発達し、抗不安薬、睡眠薬の語が使われる〔、Psychiatric drugs explained: 5th Edition〕 ==歴史== 鎮静剤は、19世紀にはアヘンとアルコール、20世紀の前半は、ブロム化合物とバルビツール酸系であった〔、Let Them Eat Prozac, 2003〕。 19世紀、精神病者がいまだ閉じ込めれていたアサイラムの時代において、モルヒネは患者を鎮める鎮静剤として、また眠らせる催眠剤でもあったが、依存性が判明し使用されなくなった〔、A History of Psychiatry: From the Era of the Asylum to the Age of Prozac, 1997〕。 またヒヨスから抽出された植物アルカロイドの(スコポラミンを含む〔)を、1833年からメルク社が販売しており、1868年にはウィーンの薬理学者カール・シュロッフが鎮静剤としても催眠剤としても作用することを見出し、1880年代までにはアサイラムで広く用いられるようになった〔。 合成された初の鎮静剤は、抱水クロラールは、1832年にギーセン大学のユストゥフ・フォン・リーヴィッヒが合成した〔。1869年に、ベルリン大学の薬理学教授オットー・リプライが不安と抑うつを示す患者の不眠症に用い有効だとした〔。上述のモルヒネやアルカロイドは注射で用いられたが、抱水クロラールは服薬できることでは優っており、しかし酷い味と服薬後の息の臭いは嫌がられた〔。当時の演劇や小説が、ヒロインが貞操を奪われる際にこの薬物を用いることを描いた〔。 1903年には、ドイツの化学者エミール・フィッシャーらはバルビタールを合成し、酷い味がなく治療域が有毒域に近くないという点で新たな鎮静剤となり、バイエル社からベロナール、シェリング社からメディナールとして販売された〔。人気を博し広く用いられるようになり、バルビツール酸系の薬は数多く合成された〔。1915年には、チューリッヒ大学精神科の精神科医ヤコブ・クレージーが、統合失調症にバルビツール酸を用いて持続睡眠療法を開始した〔。 1952年までは、患者を管理するためには、拘束や鎮静剤しかなく、もっとも使われたバルビツール酸系には、患者が眠ったり、過剰投与で死亡する副作用もあった〔なお1990年代に鎮静目的の抗精神病薬の使用も死亡の副作用から見直され、第一選択薬にはロラゼパムなどベンゾジアゼピンが用いられる:出典は同じく、、Psychiatric drugs explained: 5th Edition〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「鎮静薬」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Sedative 」があります。 スポンサード リンク
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