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阪神3011形電車(はんしん3011がたでんしゃ)は、阪神電気鉄道がかつて所有していた優等列車用の通勤形電車である。 1954年に梅田 - 三宮間をノンストップ25分で走行する、梅田 - 元町間の特急用2扉クロスシート車両として製造された、阪神電鉄初の高性能車両である。その後の輸送事情の変化に合わせてロングシート化・3扉化改造され、3561・3061形となった。 本項では、3011形→改造後の3561・3061形の順に、両形式を紹介する。 == 阪神悲願の大型車 == 851形の項でも紹介したように、阪神では戦前から大型車の導入を検討していた。施設面では1933年に開業した神戸市内地下線をはじめ、1939年開業の梅田地下駅、さらにそれより以前の1924年に開業した伝法線(現・阪神なんば線)が大型車導入可能なようになっていたほか、阪神本線の各駅も大型車が導入された際にすぐに対応できるよう、ホームを削って後退できる構造になっていた。車両面でも、1930年代中期にはすでにPCCカーに関する情報を入手しており、これをモデルとした新設軌道線〔阪神本線・西大阪線・武庫川線等の阪神電鉄社内における呼称。〕向けの軽量で高出力の主電動機を装備した大型車の研究を開始していた。1937年登場の併用軌道線〔国道線・甲子園線・北大阪線の阪神電鉄社内における呼称。〕向けの71形では、PCCカーで採用された超多段制御装置をモデルとした油圧カム軸式の芝浦製作所製RPM-100を搭載するなど、この時期にはカルダン駆動の採用はなされなかったものの、大型車導入に向けた新技術の採用は進められていた。しかし、阪急神戸本線や鉄道省東海道本線(京阪神間の急電・緩行)との競争が激化していたことから、設備改良にコストのかかる大型車の導入を見送らざるを得なくなり、それに追い討ちをかけるように1938年の阪神大水害や太平洋戦争末期の戦災、戦後も枕崎台風やジェーン台風によって施設、車両の面で何度も手ひどい被害を受けたことから、大型車導入への道のりが次第に遠くなっていった。それでも大型車導入の悲願は消えることはなく、戦後も1948年の福島付近のカーブ改良を皮切りに、大型車導入に向けた施設改良工事は順次推進されていった。 ライバル路線の阪急神戸線、東海道本線とも戦後の混乱期を脱して復興への道を進んでいた。1949年には阪急の特急と日本国有鉄道(国鉄)の急電が復活、車両面でも当初は戦前から在籍の車両〔阪急では900・920系、国鉄ではモハ52系、モハ43系。〕が使用されていたが、同年には阪急に新車の800系が投入されたのを皮切りに、翌1950年には阪急には神戸・宝塚・京都3線共通車体となった810系が、国鉄には東京地区の湘南色と異なり、大阪鉄道管理局独自のクリームとマルーンの関西急電色に塗られた80系と、戦後の両線を代表する車両が投入された。 大阪(梅田) - 三ノ宮(三宮)間を国鉄は24分、阪急は28分で結んでいた。しかし、阪神はそれに対して36分を要し、戦前から在籍の小型車主体の阪神本線は競争力を失い、1952年の阪神間の1日あたりの直通旅客数は阪神4,257人に対し阪急11,000人、国鉄14,700人と、阪急に対して4割弱、国鉄に対しては3割弱のシェアしか有していなかった。 しかし阪神は座してこの苦境に甘んじてはいなかった。大型車導入に向けた施設の改良を進める一方で、1951年には技師長の野田忠三郎をアメリカ・カナダに派遣して技術・経営の実地調査に当たらせたほか、運輸省の昭和26, 27年度科学技術応用研究補助金の支給を受けて1121形1130を種車にカルダン駆動の長期試験を実施、研究データをもとに1953年6月にはいよいよ川崎車輛(現・川崎重工業車両カンパニー)・汽車製造・日本車輌製造の各社に対して新車の発注を行った。設計に当たっては、学識経験者や国鉄、あるいは自動車メーカーの研究者や技術者に新車製作指導者を委嘱し、社内設計担当者とともに設計に携わった。製造は順調に進み、1954年5月24日に阪神初の高性能大型車として、3011(Mc, 制御電動車) - 3013(M, 中間電動車) - 3012 (Mc) の第1編成が納入され、翌25日から伝法線において試運転を開始して、7月までに3両編成5本、15両が出揃い〔編成ごとの製造メーカーは、3011, 3021, 3031の3編成が川崎車輛、3041の編成が汽車製造、3051の編成が日本車輌製造。〕、8月13日の第36回全国高等学校野球選手権大会開幕日に営業運転を開始した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「阪神3011形電車」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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