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right 数学の線型代数学の分野における階数・退化次数の定理(かいすう・たいかじすうのていり、)とは、最も簡単な場合、ある行列の階数(rank)と退化次数(nullity)の和は、その行列の列の数に等しいということを述べた定理である。特に、''A'' がある体上の ''m''×''n'' 行列(行の数が ''m'' で、列の数が ''n'')であるなら、 :rank ''A'' + nullity ''A'' = ''n'' が成立する〔, page 199.〕。 この定理は線型写像に対しても同様に適用される。''V'' と ''W'' をある体上のベクトル空間とし、''T'' : ''V'' → ''W'' をある線型写像とする。このとき、''T'' の階数は ''T'' の像の次元であり、''T'' の退化次数は ''T'' の核の次元である。したがって、 : dim (im ''T'') + dim (ker ''T'') = dim ''V'' が成立する。あるいは、同値であるが : rank ''T'' + nullity ''T'' = dim ''V'' が成立する。これは実際、''V'' と ''W'' が無限次元であることも許しているため、前述の行列の場合よりもより一般的な定理となっている。 この定理の内容は、あるいは後述の証明を用いることで、次元のみならず、空間の間の同型写像に関する内容へと精練することが出来る。 より一般的に、線型代数学の基本定理によって関連付けられる像、核、余像、余核について考えることが出来る。 == 証明 == ここでは二つの証明を与える。初めの証明では、線型変換のための記号を用いるが、''T''(x) = Ax と書くことによって簡単に行列の場合にも適用できる(ここで A はある ''m'' × ''n'' 行列)。二つ目の証明では、階数が ''r'' のある ''m'' × ''n'' 行列 A に関する同次系について考え、A の零空間を張る ''n'' − ''r'' 個の線型独立な解が存在することを陽的に示す。 第一の証明: が ''ker T'' の基底を形成すると仮定する。この基底を、''V'' の基底を形成するように へと拡張することが出来る。ker ''T'' の次元は ''m'' であり、''V'' の次元は ''m+n'' であるため、''image T'' の次元が ''n'' であることを示せば十分である。 が ''image T'' の基底であることを見る。''v'' を ''V'' 内の任意のベクトルとする。このとき、以下を満たす一意なスカラーが存在する: : : : したがって、 は ''image T'' を張る基底であることが分かる。 あとは、このリストが余分でないことを示せばよい。すなわち、 が線型独立であることを示せばよい。その証明は、これらのベクトルの線型結合がゼロであるための必要十分条件が、その各ベクトルの係数もゼロであることを示すことで達成される。今 : : とする。すると、u''i'' が ker ''T'' を張ることから、 : を満たすようなスカラー ''di'' の集合が存在することが分かる。しかし、 は ''V'' の基底を形成するものであるため、すべての ''ci'' および ''di'' はゼロでなければならない。したがって、 は線型独立であり、実際 ''image T'' の基底である。このことから、''image T'' の次元は ''n'' であることが分かり、目標は達成された。 より抽象的な言い方をすると、写像 ''T'': ''V'' → image ''T'' '' は分裂する。 第二の証明:A を、''r'' 個の線型独立な列を含む ''m'' × ''n'' 行列とする(すなわち、A の階数は ''r'' である)。以下では次を示す:(i) 同次系 Ax = 0 に対して ''n'' − ''r'' 個の線型独立な解からなる集合が存在する;(ii) その他のすべての解は、それら ''n'' − ''r'' 個の解の線型結合で与えられる。すなわち言い換えると、列ベクトルが A の零空間の基底を形成するようなある ''n'' × (''n'' − ''r'') 行列 X を、以下では作る。 一般性を失うことなく、A の初めの ''r'' 個の列が線型独立であると仮定できる。すると、''r'' 個の線型独立な列ベクトルを含むある ''m'' × ''r'' 行列の A1 と、''n'' − ''r'' 個の各列が A1 の列ベクトルの線型結合で与えられるある ''m'' × (''n'' − ''r'') 行列の A2 を用いて、A = と書くことが出来る。このことは、ある ''r'' × (''n'' − ''r'') 行列 B に対して A2 = A1 B が成立することを意味し(階数因数分解を参照)、したがって A = である。(''n'' − ''r'') × (''n'' − ''r'') 単位行列 に対し、 とする。ここで X は : を満たす ''n'' × (''n'' − ''r'') 行列であることに注意されたい。したがって、X の ''n'' − ''r'' 個の各列は、Ax = 0 の特殊解である。さらに、以下に示すように Xu = 0 であれば u = 0 であることから、X の ''n'' − ''r'' 個の列は線型独立である: : したがって、X の列ベクトルは Ax = 0 に対する ''n'' − ''r'' 個の線型独立な解の集合を構成する。 続いて、Ax = 0 の解はどのようなものでも、X の列ベクトルの線型結合で表現されることを示す。このことを示すために、Au = 0 を満たすような任意のベクトル を定める。A1 の列ベクトルは線型独立であることにより、A1x = 0 であれば x = 0 が成立することに注意されたい。したがって、 : : が成立する。これより、Ax = 0 の解であるような任意のベクトル u は、X の列ベクトルで与えられる ''n'' − ''r'' 個の特殊解の線型結合でなければならない、ということが証明される。さらにすでに、X の列ベクトルは線型独立であることが分かっている。したがって、X の列ベクトルは A の零空間の基底を形成する。すると、A の退化次数は ''n'' − ''r'' である。''r'' は A の階数に等しいために、rank(A) + nullity(A) = ''n'' が成立する。QED. 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「階数・退化次数の定理」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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