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電力会社管理ダム(でんりょくがいしゃかんりダム)は日本の民間企業が管理・運営しているダム(民間企業所有ダム)のうち、9電力会社(北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力)および電源開発、その他電力会社が管理・運営しているダムについて扱う。 ''都道府県企業局、一般企業所有の発電用ダムを含む日本に存在する全ての発電用ダム一覧については日本の発電用ダム一覧を参照のこと。'' == 概要 == 明治時代後期より建設が開始され、河川法で規定されたダムの基準である「高さ15.0メートル以上」のダムとしては鬼怒川水力電気によって1912年(明治45年・大正元年)に建設された黒部ダム(栃木県・鬼怒川)が最初である。大正時代に入ると日本各地で盛んに建設されるようになったが、こうした発電用ダムの建設はそのまま日本の土木技術発展の足跡でもあり、当時「世界のビッグ・プロジェクト」と称えられた大井ダム(岐阜県・木曽川)や大規模な機械工程で建設された最初のダム・小牧ダム(富山県・庄川)などは日本の土木史に1ページを記した。1950年代より始まる高さ100メートル以上の大規模ダム建設においても牽引的役割を果たし、佐久間ダム(静岡県-愛知県・天竜川)は「日本土木史の金字塔」と称えられ、日本で最も高い黒部ダム(富山県・黒部川)や日本有数の巨大ダムである奥只見ダム(福島県-新潟県・只見川)など多数の巨大ダムが建設された。現在においてもダムの高さ・ダムの長さ・湛水面積・有効貯水容量では電力会社管理ダムが一位の座を占め、上位五指にも名を連ねている。また、畑薙第一ダム(静岡県・大井川)は中空重力式コンクリートダムとして、八汐ダム(栃木県・鍋有沢川)はロックフィルダムの一種であるアスファルト表面遮水壁型フィルダムとして、それぞれ世界一の高さを誇っている。 さらに大正時代から昭和初期に建設された電力会社管理ダムの中には、貴重な文化的遺産であるとして国の重要文化財に指定、国の登録有形文化財に登録、あるいは土木学会による土木学会選奨土木遺産に認定されたダムもあり、文化財としての側面も有している。 日本のダム五傑 :(備考):桃色が電力会社管理ダム。黄色は施工中(2010年現在)のダムである。 基本的には水力発電に適する急流で水量の多い河川に建設されており、中央アルプスや北アルプス、南アルプスといった「日本の屋根」一帯、また三国山脈や紀伊山地、九州山地といった地域に多く建設されている。その一方で阿武隈高地や房総半島、九州西部のようになだらかな山地には数が極めて少ないかもしくは全く存在しない。従ってダムの所在地には地域差が見られる。法律的には河川法、電気事業法などによってダム建設・管理の様々な規定がなされている他、水没する水源地への補償対策として水源地域対策特別措置法のほか電源三法による地域支援策が採られている。なお、九頭竜ダム(福井県・九頭竜川)や手取川ダム(手取川・石川県)など電力会社と河川管理者(国土交通省または地方自治体)が共同で管理するダムも一部存在しており、これらは河川法第17条の「兼用工作物」として管理区分が法律で定められている(詳細は多目的ダムを参照)。また、揚水発電の調整池として既設のダムを利用する例もある(玉原発電所、喜撰山発電所など)。 ダムの管理についてはその多くが水力発電所の管理に準じている場合が多い。だが大規模なダムについてはピーアール施設を設けて事業の一般啓蒙を図っているほか、国立公園や国定公園内にあるダムはそれ自体を観光地として一般開放することもあり、黒部ダムや奥只見ダム、上椎葉ダム(宮崎県・耳川)などは地域における欠かせない観光資源になっている。ただし一ツ瀬ダム(宮崎県・一ツ瀬川)のように大規模であっても一般立入禁止にしているダムや、川浦(かおれ)ダム(岐阜県・西ヶ洞谷川)や喜撰山ダム(京都府・寒谷川)などの揚水発電ダムでは一般の立入を厳しく規制しているダムがある。黒部ダムや高瀬ダム(長野県・高瀬川)のように国立公園の環境保護を目的としてマイカー規制を敷いているダムも存在する。 近年では大規模なダムを建設する適地が少なくなっていること、バブル崩壊以降の電力需要の伸び悩みやダム事業への風当たりが強いことなどから事業が中止になるダムもあり、岐阜県の金居原水力発電所・川浦水力発電所、長野県の木曽中央発電所のように発電所計画の中止に伴うダム建設の中止も見られる。また、貯水池における堆砂の進行と海岸侵食との関連性や、ダムの安全性にかかわるデータ改ざんの発覚など、環境面や安全性に対する懸念も指摘されている。だが、2007年(平成19年)の新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所の運転停止による電力危機に対して塩原発電所(栃木県)が緊急稼働したことなど、火力・原子力発電所の緊急時に対応可能でかつ地球温暖化対策としてクリーンである水力発電が再評価されていることもあり、今後建設が行われる可能性は残されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「電力会社管理ダム」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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