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回生ブレーキ(かいせいブレーキ)は、通常は電源入力を変換して駆動回転力として出力している電動機(モーター)に対して、逆に軸回転を入力して発電機として作動させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収または消費することで制動として利用する電気ブレーキの一手法。発電時の回転抵抗を制動力として利用するもので、電力回生ブレーキ、回生制動とも呼ばれる。電動機を動力とするエレベーター、鉄道車両、自動車他、広く用いられる。 == 鉄道 == 鉄道においては、電気機関車と電車で用いられ、それらの主電動機で発電し、発生した電気エネルギーは架線や第三軌条(以下、電力供給線を架線とする)に戻される。また、自車内で蓄電池等に蓄える場合や、架線に戻した後、変電所で熱エネルギーに変換して捨ててしまう場合も一般的に回生ブレーキと呼んでいる。回生ブレーキは発電ブレーキの一種であるが、車両からこれらに電気を戻すものを回生ブレーキ、自車内で抵抗器等により熱エネルギーに変換して捨ててしまうものを発電ブレーキと呼び、区別している。 回生ブレーキを使用することにより、列車の消費電力を削減(力行時と制動時で相殺)できるほか、フラット発生による乗り心地悪化の抑止や、特に摩擦ブレーキ(空気ブレーキなどの基礎ブレーキ)として踏面ブレーキを採用している車両においては、タイヤ摩耗率の抑制〔摩耗により車輪径が小さくなると、特に動力車では歯車比を大きく(ローギヤード化)したことと同じとなり、設計時の性能からの乖離が大きくなる。〕や長い下り勾配区間などでの過熱によるタイヤ弛緩の阻止〔高野山電気鉄道(在籍全電動車)や京阪電気鉄道京津線(50型の一部)、阪和電気鉄道(ロコ1000形およびモタ300形の一部)、名古屋鉄道モ3400形)、それに国鉄EF11形・ED42形といった第二次世界大戦前の日本で回生ブレーキを導入した各社の車両は車輪が焼き嵌めであったこともあり、例外なくこの踏面ブレーキの連続使用によるタイヤ摩耗抑止とこれに伴う過熱によるタイヤ弛緩阻止、つまり勾配区間対策を主目的としていた。〕が期待でき、また地下トンネル内の温度上昇の問題も軽減できる。技術の進歩でさらに摩擦ブレーキ使用率の低下(純電気ブレーキを参照)が実現したことにより、近年登場している新形の電気車(電気機関車と電車)のほとんどが、この回生ブレーキを採用している〔東京急行電鉄では、多くの試作要素が盛りこまれて1960年に登場した初代6000系電車から回生ブレーキの採用が始まり、同社の8000系電車が登場した1967年以降、ほとんどの大手私鉄の主力車両が界磁チョッパ制御による回生ブレーキ車となった。また帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)では1971年の6000系電車以降、トンネル内での余分な放熱を抑制する目的で電機子チョッパ制御とそれによる回生ブレーキ車になった。日本国有鉄道のみが労使紛争やそれに起因する財務状況の悪化から回生ブレーキの実用化が遅れ、いくつかの特殊な例を除くと量産回生ブレーキ車は1968年のED78形電気機関車、もっとも有用な通勤型電車では1979年に試作され、1981年に量産化された201系電車まで待たなければならず、より広範に回生ブレーキ車が使用されるようになったのは1987年の分割民営化以降である。〕。 ただし、回生ブレーキを使うためには、車両から送り返される側の電圧が架線側より高くなければ十分な電力回生を行うことができず、ブレーキ性能が低下する現象(回生失効)が発生してしまうため、負荷となる変電所内設備や他の電車(列車)が一定以上必要となる。また変電所・架線等の事故や集電装置破損時には回路が絶たれるために使用できなくなる問題がある。そのため、他の列車が電力を消費する確率が低く、送電設備にかけるコストも限られるローカル線や、特に安定したブレーキ性能の要求される路面電車や急勾配線等では、あえて発電ブレーキを採用したり、回生ブレーキを採用する場合にも発電ブレーキと併用することが多い。 発電ブレーキを併設している車両には、ある程度速度が落ちると回生ブレーキから発電ブレーキに切り替えるタイプ(近畿日本鉄道の車両など)と、回生ブレーキを使いながら、架線に回生できない余分な電力を発電ブレーキで消費させるブレーキチョッパタイプ(JR東海313系電車、JR東海383系電車、JR東日本651系電車、JR東日本E257系電車、岡山電気軌道9200形電車など)とがある。また、架線電圧が安定しない場合でも、安定した回生ブレーキを生み出す特徴を持つベクトル制御の車両も出てきている。 交流電化においては比較的変電所の回路が簡単(降圧のみで整流を行わない)で、架線から変電所を通し、電源側への回生も容易である。また、き電区間が長いため(距離が長くなれば列車本数も多くなる)、発生した電力を他の車両が消費する機会も多い。もっとも、国鉄時代に技術が確立された日本の交流車両や交直流車両は、直巻整流子電動機を動力に用いる直流車両に(変圧器と)整流回路を追加した方式であり、交流側に電力を戻すには、車両側から架線側に周波数と電圧の位相に合わせた電気を架線に戻さなければならないため〔交流は時間によって電圧が周期的に変化する為、架線側の周波数と電圧の位相がずれた電気を戻すと変電所や他の電車に負担がかかり、正常な送電ができなくなる。〕、可逆コンバータ(インバータ機能を持つ整流回路)を搭載する必要があり、最近まで回生ブレーキはあまり用いられていなかったが、近年の半導体の電力変換技術の進歩により、架線側の周波数と電圧の位相に合わせた電気を架線に戻すことが容易にできるようになり、それにより交流区間での回生ブレーキが一般に使用されている〔1988年のJR東日本651系電車が交直流電車に回生ブレーキを搭載した日本最初の例である〕。 気動車でもハイブリッド方式である東日本旅客鉄道のキハE200形は回生ブレーキを採用している。下記の「自動車」と同様に、回生負荷を自車の蓄電池としているが、余剰分のブレーキ力も一旦電力として回収し、発電機をモーターとして作動させ、エンジンを排気ブレーキモードで回す(抗力をより大きくする)ことにより余剰電力を消費している〔頻繁な高深度充電は電池の寿命を著しく短くするため回生電力量を抑えなければならず、充電のみの負荷ではブレーキ力をまかなうことができない。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「回生ブレーキ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Regenerative brake 」があります。 スポンサード リンク
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