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音響測定艦(おんきょうそくていかん)は、現代の軍艦の一種。音響測定艦は、海上自衛隊の呼称であり、アメリカ海軍では海洋監視艦(Ocean Surveillance Ship)と呼ぶ。武装はほとんど施されていないが、長大な曳航聴音アレイシステムを搭載し、それによる潜水艦の探知を目的とする。聴音システムは探索曳航アレイシステム・SURTASS(''Sur''vellance ''T''owed ''A''rray ''S''onar ''S''ystem,サータス)とも呼ばれる。 探知距離は、旧式原子力潜水艦で約100km程度と言われている。 == 概要 == 冷戦期において、西側各国におけるソ連海軍の潜水艦の脅威は切実なものであった。潜水艦探知のために、海洋の各所にSOSUSシステムと呼ばれる固定聴音システムを整備したが、SOSUSが整備できない地区向けや機動的な潜水艦の探知のために特に聴音システムに優れた艦を整備することが検討された。このために開発されたのが、音響測定艦である。艦体は小型・低速ではあるが、静粛性に優れ、艦尾には曳航アレイを海中に投入するための設備を持つ。静粛性と安定性を求めたために、アメリカ海軍のビクトリアス級音響測定艦やインペカブル級音響測定艦、海上自衛隊のひびき型音響測定艦は双胴のSWATH船型となっている。最初の音響測定艦はアメリカ海軍のストルワート級音響測定艦であり、1984年に就役している。SURTASSは展張時、搭載艦の運動に制限を与えてしまうため、より簡易化したTACTASS(タックタス:戦術用タス)が巡洋艦、駆逐艦(海上自衛隊の護衛艦に相当)に装備されている。10kt(ノット)以下で運用できるものの、艦に運動制限を加え、探知についても概略探知方位と虚像が同時に探知され、さらに艦首尾方向は不感域になるなど、用兵者には倦厭される探知ソースである。しかし1CZ(Convergence Zone、収束帯)域、2CZ域での探知能力は、外洋においては評価されるべきものであろう。最新型のアメリカ駆逐艦アーレイバーク級ではTACTASSが搭載されておらず、沿岸侵攻を第一目標とするアメリカ海軍の思想が現されている。なお潜水艦に搭載されているTACTASSはSTASS(サブマリンタス)と呼ばれるが、性能的にはTACTASSと同様である。STASSの特徴は、STASSを展張した際、聴音捜索と同時に、潜水艦が自身の放射雑音レベルの測定に用いる点にある。 SURTASSはパッシブを基本とした曳航聴音アレイシステムであり、約2kmのワイヤーによって長さ数百mのハイドロフォンシステムを曳航するというものである。1990年代以降は、潜水艦の静粛化にともない、一部の艦にはハイドロフォンとは別に曳航式の低周波高出力アクティブソナー(Low Frequency Active, LFA)を装備している艦も出てきている。 また、海上自衛隊では東芝機械ココム違反事件によりクローズアップされた、ソビエト連邦海軍の原子力潜水艦の静粛性向上対策として、アメリカの技術指導の下、ひびき型音響測定艦2隻を建造した。これにより、平時からソ連潜水艦の音響データ収集の向上を図るものであった。ただし、後に東芝機械のココム違反は、事件とソ連原潜の静粛性にまったく因果関係がないことが明らかとなっている。 音響測定艦は、パッシブソナーによる潜水艦の音紋採集が任務であるが、1990年代以降、アメリカ海軍に所属する音響測定艦が低周波高出力アクティブソナーを稼動させるたびにクジラやイルカが大量に座礁するという事件が多発しており、環境保護団体による非難が出ていた。これは、アクティブソナーの大音響が海棲哺乳類の感覚に打撃を与えているためだといわれている。そのために、アメリカ海軍においては、低周波高出力アクティブソナーの使用海域を制限している〔WIRED.jp 米海軍の低周波ソナーをめぐる訴訟、最終段階へ(2003年7月) 〕。 また、冷戦終了後、潜水艦の脅威が減少したためにアメリカ海軍では音響測定艦の一部を別任務に転用している。これはSURTASSシステムを降ろし、対空レーダーを増備、麻薬密輸組織の監視に使用するものである。主にカリブ海からメキシコ湾岸にかけて展開している。また、民間人が乗り込むようになり、地球環境の観測にも使用され、地殻変動により発生する極低周波の観測など地学研究の機材としても利用されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「音響測定艦」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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