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鬨 : ウィキペディア日本語版


(とき)とは、中世の戦(いくさ、戦争や衝突)などの勝負事で勝ちを収めたときの勝ち鬨や、戦場で上げる声である。士気を高める目的で多数の人が一緒に叫ぶ声。凱歌(がいか。勝負事に勝ちを収めたときに歌う喜びの)とは同義あるいは一部同義とされるほど近いが、勝鬨は歌ではなく、武家作法の一つ。
== 概要 ==

*鬨をあわす、鬨をつくる
戦の始めに両軍は互いに声を発した〔『平家物語』には、「時(鬨)をつくる事、三ヶ度、(中略)味方にも時の声をぞ あはせたる」とあり、少なくとも平安時代には用いられ、この、敵の声=鬨に応じて、味方が鬨の声をあげる事を「鬨をあわす」という。参考・新村出編 『広辞苑』 岩波書店 第二版1969年 p.1588、一部参考。なお、『平治物語』にも「(前略)三千余騎にて時(鬨)をどつとつくりければ~」とあり、中世の軍記物語では、鬨は「時」の字を用いた。〕。日本は「えいえい」という大将の掛け声に呼応して軍勢一同が「あう(オオ)」と声を合わせ、これを三度行なったという。「えいえい」は前進激励の「」、「おう」はそれに応じる「」の意であるという。
*勝ち鬨
一例として、『鴉鷺合戦物語』(15世紀末前後)にも作法についての記述があり、戦初めの時に「鬨を三度」出し(これは13世紀成立の『平家物語』『平治物語』も同じ。脚注参照)、戦後の勝ち鬨に関しては、「勝ち時(鬨)は一度、始め強く、終わり細かるべし」と記している。
上泉信綱伝の『訓閲集』(大江家の兵法書を戦国風に改めた書)巻十「実検」の中の、帰陣祝いの規式の法、の項に、「勝凱をつくることは、軍神を送り返し、奉る声なり」と記述されており、信仰的な面と繋がっていたことをうかがわせる。なお『訓閲集』の表記では、「えい」も「おう」も異なり、「曳〔この表記に関しては、『土佐物語』にも見られ、「曵々声と共に(出兵した)」といったくだりが度々記されている。ただ、『訓閲集』のような身分による表記の区別はされておらず、四国では曵の字で統一されている。〕(大将が用いるエイ)」「叡(諸卒が用いるエイ)」「王」の字を用いており、また、軍神を勧請する際、「曳叡王(えいえいおう)」と記し、大将が「曳」と発した後に、諸卒が「叡王」とあげるとしており、声に関しては、「初め低く、末高く張り揚げる」と記している(前述の15世紀成立の『鴉鷺物語』と表現に変化がみられる)。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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