|
===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 鰯 : [いわし] 【名詞】 1. sardine ・ 恋 : [こい] 1. (n,vs) love 2. tender passion ・ 曳網 : [ひきあみ] 1. (oK) (n) dragnet 2. seine ・ 網 : [あみ] 【名詞】 1. net 2. network
『鰯売恋曳網』(いわしうりこいのひきあみ)は、三島由紀夫作の歌舞伎の演目。大名高家の客専用の遊女に一目惚れした鰯売り(魚売り)が大名に化けて廓に行く物語。三島の純文学とは全く趣きの異なる娯楽的作風だが、余裕を感じさせるファルスで、秀逸なナンセンスと、晴れやかな祝祭性、健康な笑いが溢れた作品として高評価された〔「第三章 問題性の高い作家」()〕〔松本徹「三島由紀夫の戯曲――言葉ひとつでドラマを構築することに魅せられて」()〕。室町時代の御伽草子『猿源氏草子』をもとに、『魚鳥平家』、『小夜姫の草子』などの部分を取り入れていると三島は述べている〔「『鰯売恋曳網』について」(歌舞伎座プログラム 1954年11月)。〕。 1954年(昭和29年)、雑誌『演劇界』11月号に掲載され、同年11月2日より芸術祭11月大歌舞伎として、歌舞伎座で中村勘三郎の猿源氏、中村歌右衛門の蛍火で初演された〔井上隆史「作品目録」()〕〔山中剛史「上演作品目録」()〕。以降繰り返し上演され、十七代目勘三郎ののちは、十八代目中村勘三郎の猿源氏と坂東玉三郎の蛍火によって上演されてきた人気演目である〔〔近藤瑞男「鰯売恋曳網」()〕。 台本は1955年(昭和30年)7月20日に新潮社より刊行の『ラディゲの死』に収録された〔。オーストラリアでも、「ザ歌舞伎」の一演目(英題:The Sardine Seller's Net of Love、Sardine Seller Casts The Net of Love、Catching a Fish Called Love)として公演され、中国(中題:売魚郎巧締姻縁)でも翻訳されている〔久保田裕子「三島由紀夫翻訳書目」()〕。 == あらすじ == 鰯売の猿源氏は、川風に吹き上げられた輿の御簾の隙間から、都一の美しい遊女・蛍火の姿を垣間見てから恋の病に取り付かれ、鰯を売る声もへなへなとなり、父親・海老名なあみだぶつに、「鰯がくさる」と怒鳴りつけられる。 息子の恋の仲立をしてやろうとする父親の企みで、猿源氏は大名に化けて蛍火のいる五条東の洞院へ繰り込み、蛍火を呼ぶのに成功する。その遊興の座敷で猿源氏は求められるまま軍物語をし出すが、登場するのは鯛、平目、赤貝、蛸で、魚介類の合戦譚。あわててそれを取り巻き連中が適当に囃し立ててごまかすが、やがて、猿源氏は酒の酔いが回り、うとうとするうちに寝言で、「伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯かうえい」と、鰯の売り声を上げてしまう。蛍火がそれを問うと、古歌を引いての苦しい弁解をし出す。 その猿源氏の苦しい弁解が終わると、蛍火は泣き伏しながら自分の身の上話をし出す。蛍火はもともと紀国丹鶴城の姫であったが、高城で鰯売りの声を聞いて魂を奪われ、城を抜け出して後を追ったという。しかし、追いつけず道に迷ったところを人買い商人に騙され、郭に売られて今の身の上となったのであった。 姫は、猿源氏が寝言で発した売り声を聞き、その会いたいと思っていた鰯売りの男に今日会えたと思ったのに、猿源氏がやはり別人で侍だったと落胆し、懐刀を抜き自害しようとする。猿源氏はあわてて引き留め、自分は贋者の殿様で、本当は鰯売りであると明かし、刀を天秤棒のように担いで、華やかな座敷を歩き回ったりする。 そこへ丹鶴城からの迎えがやって来て、身請金も整い、蛍火は郭から自由になる。しかし、姫は威厳をもって城へ戻るのを拒否し、猿源氏と夫婦になって鰯売りをするために、売り声の練習を始めた。姫はその場にいる者たちにも、「見習やいなう」と命じ、皆も一斉に、「伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯かうえい」と声をあげ、2人は廓から出ていく。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「鰯売恋曳網」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|