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『麦と兵隊』(むぎとへいたい)は、1938年に出版された火野葦平の小説。戦記文学。また、それをもとにした戦時歌謡。『土と兵隊』『花と兵隊』とあわせ「兵隊3部作」とも呼ばれている。 現在は、社会批評社から『土と兵隊』と併せて出版されている(ISBN 4907127022)。 == 内容 == 1938年(昭和13年)雑誌『改造』に発表。発表翌月刊行。以後100万部以上の版を重ねる。本作品は火野の弁によると小説ではなく従軍記録であり、日中戦争開始翌年1938年5月の徐州会戦に於ける進軍中の旧日本軍の実情を、従軍民間マスコミの高慢な態度などとも併せて活写している。 前年末の南京攻略戦参加(杭州湾に敵前上陸)の後、火野は招集直前に脱稿した政治的寓意小説『糞尿譚』によって3月に第六回芥川賞を受賞し、4月に中支那派遣軍報道部に転属されている。3月、杭州で文芸評論家小林秀雄による陣中授与式が行われた。本作品の山場である孫圩(そんかん)〔この地名についての漢字と読みは、火野の自殺間もない1960年(昭和35年)6月刊行の新潮社日本文学全集「火野葦平集」による。下記のNHKスペシャルでは「そんう」とルビが振られている〕での中国軍の強襲の最中、極限状況に陥る場面で、火野が小林との哲学的対話を想起しながら走馬燈体験をする箇所がある。この日の記述には、''“私は、今、廟の前の穴から出て来て、再び廟の中に入り、この日記を書きつけて居る。私は昨日まで一日終わって、その一日の日記を書きつける習慣であったけれども、今、私は、既に、一日終る迄私の生命があるかどうか判らなくなった。今は午後六時二〇分である。”''というような箇所があるように、『麦と兵隊』は「どんなに疲れていても遺書のつもりで書く」(本人談)という火野の強い意志の結実であると言える。 小林は本作品を戦場における日本人の自然な心情の発露として賞賛している。抛棄された民家に残る現地中国人の生活感、進軍中果てることなく続く麦畑等自然の風物、戦闘で負傷し遺棄されて憔悴して草をはむ軍馬の姿などが印象的である。 戦後、火野は当局に削除されていた捕虜の殺傷場面などを記憶を頼りに補筆し、これを以って「最終稿」とした〔NHKアーカイブス 〕〔NHKスペシャル「従軍作家たちの戦争 」(2013年8月14日放送)に詳細が取り上げられている〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「麦と兵隊」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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