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鼻行類(びこうるい)は、動物学論文のパロディ作品である書籍の題名。およびその書籍で紹介される架空の動物の名である。 == 概要 == 『鼻行類』はハラルト・シュテュンプケ名義で書かれた、架空の生き物「鼻行類」を解説した書籍である。1961年発行。フィクションではあるが、生物学の学術書によくある、特定の分類群に関する総説の形式を巧みに表現してあり、個々の動物の記述は客観的かつ冷静である。 特に、一つの群島における哺乳類の一分類群の適応放散をシミュレートする、という試みにおいても興味深いものである。鼻で歩くというのがいかにも奇妙であるが、考えてみればゾウの鼻でもずいぶんと奇妙であるし、生物界にはびっくりするような適応の例はいくらでもある。しかしそれが鼻であることが一種のおかしみを醸し出している。さらにダンボハナアルキなどは、耳を羽ばたかせて飛ぶというディズニーアニメのダンボを生物学的に具現化してみせたものである。それ以外にも、寄生性の哺乳類など、実在しないものを無理やり創り出したものもある。なお、顔を花に擬態させて虫を捕るというハナモドキなどは、ほぼ同様の案が『アフターマン』でも使われており、言わば、アイディアの収斂が見られる。イカモドキは繊毛粘液摂食を陸上のしかも哺乳類にさせる思考実験ともとれる。 その学術論文のパロディとしての完成度はかなり高い。鼻行類についての記述のみならず、ハイアイアイ群島の現地人の文化や鼻行類研究の歴史なども、それらしく描かれている。また、巻末の参考文献一覧なども一見の価値がある。その系統樹を完全なものとしては描かず、多くの疑問や異説を含むかたちで提出するあたりにも、学術論文的なリアリティがある。また、地鼻類の項では単にこの架空の分類群のみならず、扁形動物門三岐腸類の系統にまで話を広げるあたりは、いかにも意欲的な研究者の書きそうな話でもある。 線画による細密画も生物学論文的なもので、ときに違ったタッチのものが混じるのは、総論的な学術論文ではよくある、他の研究者の論文からの引用によって異なったタッチの図が入り交じるという事実を巧みに模したものである。 古い詩(これは実在する)の引用から始まり、核実験による島の消滅という終焉を末尾に置くというドラマチックな構成は、単なるパロディ論文というよりは、論文という体裁をとった一つのおとぎ話としても成立している。サイエンスフィクションならぬ、バイオロジーフィクション作品と呼べるであろう。 なお、本文中では始めに少し説明がある以外には言及がないが、この島はきわめて古い時代に孤立して以降、独自の進化の道をたどっており、そのために高等な昆虫が欠けている。したがって、図中に描かれている昆虫はいずれもゴキブリやカゲロウなど古い型のものかそれに由来するものであり、よく見るとそれらしく描かれている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「鼻行類」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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